重力と垂直抗力と張力!作図とつり合いの式のポイント!

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今回から、物体に働く色々な力について具体的に学んでいきましょう!

 

』とは、物体を変形させたり運動の速度や向きを変えるものでした。
つまり、物体の運動を調べるためには、物体に働く力を正確に知る必要があるんですよ。

 

そして、力は大きさと向きを持つベクトル量なので矢印で表せます。

 

そこで、「大きさ・向き・作用点」を表せる矢印を使って、目に見えない力を分かりやすく表すことにしたわけですね。

 

これで、物体に働くどの力とどの力がつり合っているか?ということが見えやすくなり、運動の仕組みが分かるようになりました。

 

ここでは、物体が地球から受ける『重力(じゅうりょく)』、面から受ける『垂直抗力(すいちょくこうりょく)』、糸やひもから受ける『張力(ちょうりょく)』、これらの力のつり合いについて詳しく見ていきましょう。

 

重力』『垂直抗力』『張力』は力なので、単位は[N](ニュートン)ですよ。

 

力を表す矢印や力のつり合いについて忘れていたら、先にこちらで復習しましょう!

 

目次

重力

重力とは

重力』は、地球上のあらゆる物体が地球から受ける力ですね。
そして、物体の質量が大きいほど受ける重力は大きくなりますよ。

 

質量m [kg](質量”mass”の頭文字)の物体にかかる重力の大きさWmg [N](ニュートン)となるのでした(忘れていたらこちらで復習!)。

 

重力の大きさを表す記号はW(重量”weight”の頭文字)、g(重力”gravity”の頭文字)は重力加速度ですね。

 

では、重力を矢印で表してみましょう!

 

重力の表し方

重力は物体の全ての部分に働く力ですね。
重力を矢印で書くときは、物体の重心(大体真ん中)から地球の中心に向かって鉛直(えんちょく)下向きに1本だけ書きます。

 

図1 重力の表し方

 

重力は地球上のあらゆる物体に働く力なので、必ず書きます。
ただし、「物体の質量は無視する」と書かれている場合は考えなくて良いですよ。

 

次は、物体が接している面から受ける垂直抗力です!

 

垂直抗力

垂直抗力とは

垂直抗力』とは、耳慣れない言葉ですね。
でも、私たちがいつも受けている力なんですよ。

 

今、あなたの前にある机の上にマグカップが置いてあるとしましょうか。
マグカップがよっぽど重かったり机の面がボロボロじゃなければ、マグカップは机の面の上で静止していますよね。

 

このときのマグカップに働く力を考えてみましょう。

 

まず、マグカップは鉛直下向きに重力を受けていますよね。
だから地球に向けて落下しようとします。

 

でも、机を突き抜けて落下しないのはなぜでしょう?

 

それは、机の面から垂直方向に上向きの力を受けているからなんですね。
このように、物体と接する面から垂直な方向に受ける力を『垂直抗力』と言いますよ。

 

垂直抗力の大きさを表す記号はN(垂直抗力”normal force”の頭文字で、normalには「垂直」の意味がある)です。

 

では、垂直抗力を矢印で表してみましょう!

 

垂直抗力の表し方

垂直抗力の矢印は、この順番で書きましょう!

 

  1. 着目する物体を決める
  2. 物体と接する面を探す
  3. 面から垂直方向に物体が受ける力の矢印を書く

 

図2 物体が面から受ける垂直抗力

 

垂直抗力は、面から垂直な方向の力なので、上向きとは限りません
面の横や下から受ける垂直抗力もあるんですよ。

 

つまり、面と接していれば物体は必ず垂直抗力を受けるわけですね。

 

図3 色々な垂直抗力

 

それから、問題文に出てくる「物体が面から離れる」という表現は、「垂直抗力=0」という意味ですよ。
物体が面と接していなければ、垂直抗力は生じませんね。

 

では、物体に働く垂直抗力を矢印で表してみましょう。

 

垂直抗力と重力のつり合い

水平な床の上に質量m [kg]の箱が置かれていて、この箱は静止していますよ。

 

この箱を着目物体として、物体が受ける力を全て書き出してみましょう。

 

図4 水平な床の上に置かれた物体

 

物体には重力が働くので、まずは鉛直下向きに重力を表す矢印を書きますね。
重力の大きさをWmgと書いておきましょう。

 

図5 水平な床の上に置かれた物体に働く重力

 

次は物体と接している物を探します!
物体は床の面と接していますね。

 

なので、物体は床から垂直方向の垂直抗力を受けていますよ。
接している面から垂直抗力の矢印を書きましょう。

 

重力の矢印とかぶらないように、少しずらして書くと見やすいですよ。
垂直抗力の大きさをNと書いておきましょう。

 

図6 水平な床の上に置かれた物体に働く全ての力

 

さて、この物体は静止しているのでしたね。
つまり、物体に働く力である重力と垂直抗力はつり合っているわけです。

 

なので、重力と垂直抗力の合力=0となりますね。
鉛直上向きを正とすると、垂直抗力はN(鉛直上向きで大きさはN)、重力は-W(鉛直下向きで大きさはW)と表されます。

 

そうすると、つり合いの式はN+(-W)=0、つまり、NWmgとなるわけですね。
この場合は重力と垂直抗力の大きさが同じですから、それぞれの矢印は同じ長さで書きましょう。

 

図7 物体に働く重力と垂直抗力のつり合い

 

これで、水平な床の上に置かれた箱に働く全ての力を書き出し、つり合いの関係も分かるようになりましたね。

 

ここで、『垂直』と『鉛直』の違いを確認しておきましょう。
物理では、この違いをきちんと理解する必要がありますよ。

 

垂直と鉛直の違い

  • 『垂直』は、面に対して90°をなす方向
  • 『鉛直』は、おもりを糸でつるしたときの糸の方向、つまり真下(重力の方向)

 

垂直方向は面や線の方向で変わりますが、鉛直方向は変わりませんよ。
図にするとこんな感じです。

 

図8 鉛直と垂直

 

物理ではどちらも良く出てくる言葉なので、違いをしっかり理解してくださいね。

 

ちなみに、鉛直と90°をなすのが『水平』ですよ。

 

図9 鉛直と水平

 

「垂直」と「鉛直」の違いについて、もっと詳しく知りたい方はこちらへどうぞ。

 

次は、張力を表す矢印を書いてみましょう。

 

張力

張力とは

張力』とは、引っ「張」る「力」ですよ。
つまり、糸やひもが物体を引っ張るときに物体が受ける力なんです。

 

例えば、物体を糸でつるすことにしましょう。
物体は鉛直下向きに重力を受けているはずですが、物体は落っこちませんね。

 

それは、物体が落下しないように糸が物体を引っ張る、つまり、物体は糸から上向きの力を受けているからですよ。

 

このように、ピンと張った糸が物体を引っ張る力を『張力』と言います。
しかし、糸がたるんでいると物体を引っ張れないので、張力=0になりますよ。

 

張力の大きさを表す記号はT(張力”tension”の頭文字)です。

 

では、張力を矢印で表してみましょう!

 

張力の表し方

張力の矢印は、この順番で書きましょう!

 

  1. 着目する物体を決める
  2. 糸やひもが物体と接する点(接触点)を探す
  3. 接触点から物体が受ける力の矢印(糸にそって物体から離れる向き)を書く

 

図10 物体が糸から受ける張力

 

ところで、問題文に出てくる糸は、ほとんど「軽い糸」または「軽くて伸び縮みしない糸」ですね。

 

軽いので糸の質量が無視できる、という意味なのですが、もっと重要な意味も持っていますよ。

 

軽くて伸び縮みしない=糸の両端にかかる張力が等しいということなんです。
問題文によく出てくるので、覚えておいてくださいね。

 

糸が伸びるとたるんで張力が小さくなりますし、糸が縮むと張力が大きくなってしまいますよ。
なので、「糸の両端にかかる張力が等しい」ことを表すために「軽くて伸び縮みしない」と書いてあるわけですね。

 

図11 色々な張力

 

それでは、物体に働く張力を矢印で表してみましょう。

 

張力と重力のつり合い

質量m [kg]の球が軽くて伸び縮みしない糸でつるされていて、この球は静止していますよ。

 

この球を着目物体として、物体が受ける力を全て書き出してみましょう。

 

図12 糸につるされた物体

 

物体には重力が働くので、まずは鉛直下向きに重力を表す矢印を書きますね。
重力の大きさをWmgと書いておきましょう。

 

図13 糸でつるされた物体に働く重力

 

次に、物体と接している物を探します!
物体は糸と接していますね。

 

なので、物体は糸から引っ張られる張力を受けていますよ。
糸と物体の接触点から張力の矢印を書き、その大きさをTと書いておきましょう。

 

図14 糸でつるされた物体に働く全ての力

 

さて、この物体は静止しているのでしたね。
つまり、物体に働く力である重力と張力はつり合っているわけです。

 

なので、重力と張力の合力=0となりますね。
鉛直上向きを正とすると、張力はT(鉛直上向きで大きさはT)、重力は-W(鉛直下向きで大きさはW)と表されます。

 

そうすると、つり合いの式はT+(-W)=0、つまり、TWmgとなるわけですね。
この場合は重力と張力の大きさが同じなので、それぞれの矢印は同じ長さで書きましょう。

 

図15 物体に働く重力と垂直抗力のつり合い

 

これで、糸につるされた球に働く全ての力を書き出し、つり合いの関係も分かるようになりましたね。

 

 

重力と垂直抗力と張力の表し方については理解できましたか?

 

それでは、一緒に例題を解いてみましょう!

 

例題で理解!

例題1
(1)~(3)の色をつけた物体に働く力を全て矢印(ベクトル)で示せ。
矢印の長さ、向き、作用点に注意すること。
また、それぞれの力の大きさに重力W、張力T、垂直抗力Nなどの記号を割り当てよ。
力が複数ある場合は、力の間に成り立つ関係を式で表せ(張力や垂直抗力が複数ある場合は、T1T2、・・・、N1N2、・・・のように表せ)。

(1)空中を飛んでいる物体(空気抵抗は無視できる)。
(2)水平な床に置かれて静止している物体。
(3)水平な床に置かれた物体に糸をつけ、鉛直上向きに引く。
しかし、物体は床の上に静止したままである。
(4)水平な床に置かれて静止している物体。その上に別の物体が置かれている。

 

図16 (1)~(3)の図

 

物体に働く力は、3ステップで書けますよ。

 

  1. 着目する物体を決める
  2. 重力を表す矢印を物体の重心から書く
  3. 物体にくっついたものから受ける全ての接触力の矢印と大きさを書く

 

さらに、物体が静止している=物体に働く力がつり合っている、ときのつり合いの式の立て方はこの3ステップで進めますよ。

 

  1. 力の正の向きを決める
  2. 力の向きを正負で表す
  3. 力のつり合いの式(全ての力の和=0)を立てて解く

 

ね、簡単でしょう?
でも、着目する物体を間違ったら台無しなので、慣れないうちは「着目物体は〇〇」と書くと良いですよ。

 

それでは、解いていきましょう!

 

(1)空中を飛んでいる物体(空気抵抗は無視できる)。

着目物体は、空中を飛んでいるブタさんです。
物体が受ける力は重力Wだけですね。

図17 (1)の物体が受ける力

 

(2)水平な床に置かれて静止している物体。

着目物体は、水平な床に置かれた物体です。

 

物体は重力Wを受けますね。
そして、物体は床と接しているので、床から垂直抗力Nを受けます。

 

図18 (2)の物体が受ける力

 

物体は静止しているので、重力と垂直抗力がつり合っていますね。

 

鉛直上向きを正とすると、力のつり合いの式はN+(-W)=0ですよ。
つまり、NWなので、2力の矢印の長さは同じになりますよ。

 

(3)水平な床に置かれた物体に糸をつけ、鉛直上向きに引く。
しかし、物体は床の上に静止したままである。

着目物体は、水平な床に置かれて糸で引っ張られている物体ですね。

 

物体は重力Wを受けます。
そして、この物体は床と糸と接触していますね。

 

「物体は床の上に静止したままである」とは、「糸で引っ張られているけど、床からは浮かずにくっついている」という意味ですよ。

 

ですから、床からは垂直抗力Nを受け、糸からは張力Tを受けますね。

 

図19 (3)の物体が受ける力

 

物体は静止しているので、重力と垂直抗力と張力がつり合っていますね。

 

鉛直上向きを正とすると、つり合いの式はTN+(-W)=0ですね。
つまり、TNWなので、TNの矢印を足し合わせた長さとWの矢印の長さが同じになりますよ。

 

(4)水平な床に置かれた物体。その上に別の物体が置かれている。

着目物体は、床に置かれてさらにその上に別の物体が置かれていますね。

 

着目物体は重力Wを受けます。
そして、この物体は床と上に置かれた物体と接触していますよ。

 

ですから、床からは垂直抗力N1を受け、上に置かれた物体からは垂直抗力N2を受けますね。

 

図20 (4)の物体が受ける力

 

物体は静止しているので、重力と垂直抗力と張力がつり合っていますね。

 

鉛直上向きを正とすると、つり合いの式はN1+(-N2)+(-W)=0ですね。
つまり、N1N2Wなので、N2Wの矢印を足し合わせた長さとN1の矢印の長さが同じになりますよ。

 

「あれ?上に置かれた物体の重力は関係ないんですか?」

 

それは良くある質問ですね。
着目物体は何ですか?床に置かれた物体でしたよね。

 

書き出すのは着目物体に働く力、つまり、着目物体に作用点がある力だけなんですね。

 

上に置かれた物体の重力は上に置かれた物体に働く力なので、ここでは書き出しません。

 

はじめに言ったように、物体に働く力を考えるときは「着目物体は何か」をはっきりさせておくと間違えませんよ。

 

続いて、2問目を解いてみましょう!
つり合いの問題で良く出てくる三角比を使った問題ですよ。

 

例題2
天井のA点とB点に糸の両端を固定し、糸の途中のC点に物体をつるして静止させた。
物体が受ける重力の大きさは30 N、ACの長さが40 cm、BCの長さが30 cmで、∠ACB=90°であった。
糸ACの張力および糸BCの張力の大きさは何Nか求めよ。
糸は軽くて伸び縮みしないものとする。

 

図21 糸につるされた物体

 

さて、物体は静止しているので、物体に働く力はつり合っていますよ。
物体に働く力を全て書き出してみましょう。

 

図22 糸につるされた物体が受ける力

 

物体に働く力は、地球から受ける重力と糸から受ける張力の2つですね。
この2力は同一作用線上にあってつり合っているので、大きさは同じ30 Nとなります。

 

ところで、C点からつながる1本の糸で物体がつるされていますね。
これは、物体がC点でつるされているのと同じことになります。

 

なので、張力30 NはC点が直接受けているのと同じになるわけですね。

 

さて、求めるのは糸ACの張力(大きさはTA)と糸BCの張力(大きさはTB)でした。
TATBは、物体が糸から受ける張力30 NをAC方向とBC方向に分力したものになりますよ。

 

図23 糸につるされた物体に働く張力の分解

 

つまり、力のつり合いの関係は、こうなりますね。

 

図24 3力のつり合い

 

さらに水平方向と鉛直方向に分力して、それぞれのつり合いの式を立てますね。

 

図25 水平方向と鉛直方向への分力

 

ごちゃごちゃしているので、水平方向のx成分と垂直方向のy成分だけ抜き出しましょう。
TATBx成分はTAxTBxTATBy成分はTAyTByとしますね。

 

図26 水平方向と鉛直方向の力のつり合い

 

右向きを正とすると、水平方向のつり合いの式は(-TAx)+TBx=0なので、TAxTBx・・・(1)
上向きを正とすると、鉛直方向のつり合いの式はTAyTBy+(-30)=0なので、TAyTBy=30・・・(2)

 

TAxTAsinθTBxTBcosθTAyTAcosθTByTBsinθなので、ここでsinθとcosθを求めておきましょう。

 

三角形ABCは直角三角形ですね。
三平方の定理から、AB2=AC2+BC2=402+302=1600+900=2500=502なので、AB=50 cmとなります。

 

図27 三角形ABCと角度θの関係

 

ですから、sinθ=\(\rm\frac{4}{5}\)、cosθ=\(\rm\frac{3}{5}\)ですね。

 

水平方向のつり合いの(1)式は、TAsinθTBcosθ、つまり、4TA=3TB
鉛直方向のつり合いの(2)式は、TAcosθTBsinθ=30、つまり、3TA+4TB=150

 

(1)式からTB=\(\rm\frac{4}{3}\)TAなので、(2)式に代入して計算すると、TA18 N
TB=\(\rm\frac{4}{3}\)TA=\(\rm\frac{4}{3}\)×18 N=24 N

 

別の解き方もありますよ。

 

図23 から、つり合っている3力を結ぶと三角形ができることが分かりますね。

 

図28 3力がつくる三角形

 

三角比から、TA=30 N×cosθ18 NTB=30 N×sinθ24 Nとなりますね。

 

 

つり合っている力の大きさを求めるには、力の合成、力の分解、三角形をつくる(3力がつり合う場合)という方法がありますよ。
1つの問題でも色々な解き方を試して慣れましょう!

 

では、チェックテストで理解を深めましょう!

 

重力と張力と垂直抗力のつり合い理解度チェックテスト

【問1】
質量0.10 kgで大きさの無視できる物体を糸Aにつけて天井に固定した。
物体につけた別の糸Bに水平方向右向きの力を加えると、糸Aは鉛直線と30°の角をなして静止した。
糸Aと糸Bの張力を求めよ。
糸は軽くて伸び縮みしないものとし、重力加速度の大きさを9.8 m/s2として、次の問いに答えよ。

 

 

解答・解説を見る
【解答】
糸Aの張力は1.1 N、糸Bの張力は0.57 N

【解説】
「大きさの無視できる」物体なので、物体は小さな点とみなせる。
また、糸は「軽くて伸び縮みしない」ので、糸が受ける重力は無視できる。
問題文に出てくる数値は有効数字2桁なので、答えも有効数字2桁とする。

 

物体は静止しているので、物体に働く力はつり合っている。
物体に働く力は、物体が受ける重力\(\vec{W}\)(大きさはW)、糸Aから受ける張力\(\vec{T_{A}}\)(大きさはTA)、糸Bから受ける張力\(\vec{T_{B}}\)(大きさはTB)の3力である。

 

 

3力のつり合いを考えるので、TAを水平方向のTAxと鉛直方向のTAyに分解する。

 

 

TAxTAsin30°=\(\frac{1}{2}\)TATAyTAcos30°=\(\frac{\sqrt{3}}{2}\)TAとなる。

 

水平方向は右向きを正、鉛直方向は上向きを正としてつり合いの式を立てると、
水平方向:(-TAx)+TB=0なので、TBTAx=\(\frac{1}{2}\)TA
鉛直方向:TAy+(-W)=0なので、WTAy=\(\frac{\sqrt{3}}{2}\)TA

 

W=0.10×9.8=0.98を鉛直方向のつり合いの式に代入すると、
\(\frac{\sqrt{3}}{2}\)TA=0.98
TA=\(\frac{0.98×2}{\sqrt{3}}\)=\(\frac{0.98×2×\sqrt{3}}{3}\)=\(\frac{0.98×2×1.73}{3}\)=1.130・・・=1.1 N

 

水平方向のつり合いの式にTAの値を代入すると、
TB=\(\frac{1}{2}\)×\(\frac{0.98×2}{\sqrt{3}}\)=\(\frac{0.98}{1.73}\)=0.566・・・=0.57 N

 

<別解①>

物体が受ける重力\(\vec{W}\)(大きさはW)、糸Aから受ける張力\(\vec{T_{A}}\)(大きさはTA)、糸Bから受ける張力\(\vec{T_{B}}\)(大きさはTB)の3力がつり合っている。
なので、この3力を結ぶと三角形になる。

 

 

W=0.98=TAcos30°=\(\frac{\sqrt{3}}{2}\)TAなので、
TA=\(\frac{0.98×2}{\sqrt{3}}\)=\(\frac{0.98×2×\sqrt{3}}{3}\)=\(\frac{0.98×2×1.73}{3}\)=1.130・・・=1.1 N

また、TBWtan30°=\(\frac{0.98}{\sqrt{3}}\)=\(\frac{0.98}{1.73}\)=0.566・・・=0.57 N

 

<別解②>

3力のうち2力を合成し、その合力と残った1力のつり合いを考える。
例えば、\(\vec{W}\)と\(\vec{T_{B}}\)の合力\(\vec{W}\)+\(\vec{T_{B}}\)は\(\vec{T_{A}}\)とつり合う。

 

 

W=0.98=TAcos30°=\(\frac{\sqrt{3}}{2}\)TAなので、
TA=\(\frac{0.98×2}{\sqrt{3}}\)=\(\frac{0.98×2×\sqrt{3}}{3}\)=\(\frac{0.98×2×1.73}{3}\)=1.130・・・=1.1 N

また、TBTAcos60°=\(\frac{0.98×2}{\sqrt{3}}\)×\(\frac{1}{2}\)=\(\frac{0.98}{1.73}\)=0.566・・・=0.57 N

 

まとめ

今回は、重力と垂直抗力と張力についてお話しました。

 

重力Wを表す矢印は、

  • 物体の重心から鉛直下向きに矢印を1本書く

 

垂直抗力Nを表す矢印は、

  • 物体と接する面から力を受ける垂直方向に矢印を書く

 

張力Tを表す矢印は、

  • 物体と糸の接触点から糸にそって物体から離れる向きに矢印を書く

 

物体に働く力を書く3ステップは、

  1. 着目する物体を決める
  2. 重力を表す矢印を物体の重心から書く
  3. 物体にくっついたものから受ける全ての接触力の矢印と大きさを書く

 

つり合いの式を立てる3ステップは、

  1. 力の正の向きを決める
  2. 力の向きを正負で表す
  3. 力のつり合いの式(全ての力の和=0)を立てて解く

 

力のつり合いを考えるには、物体に働く力を全て書き出すことから始まりますね。
そして、物体に働く力を書きだすには、着目物体を間違えないことがポイントですよ!

 

次回は、作用反作用の法則についてお話しますね。
こちらへどうぞ。

 

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