波の重ね合わせの原理と合成波の作図!波の独立性とは?

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物体同士がぶつかると、どうなるでしょう?
例えば、自動車同士がぶつかったらクラッシュして大変なことになりますよね。

 

このように、物体同士がぶつかったら、跳ね返ったり壊れて変形したりしますね。
では、波と波がぶつかったらどうなるのでしょう?

 

「波が跳ね返るかも・・・?」
「片方の波に全て飲みこまれるかも」

 

どれも違いますよ。
実は、波と波がぶつかるときの様子は、物体同士がぶつかる場合とは全く違います。

 

そのことを表したのが『重ね合わせの原理(かさねあわせのげんり)』と『波の独立性(なみのどくりつせい)』なのです。
波特有の大切な性質なので、ここでしっかり理解しておきましょうね。

 

重ね合わせの原理

2つの波がぶつかると?

ボールのような物体同士がぶつかると、跳ね返ったり壊れたりしますね。
波同士がぶつかったら、跳ね返ったり壊れたりするのでしょうか?

 

1本のロープ上を逆向きに2つのパルス波(孤立した波)が逆方向に進んでいます。
波の一番高い変位(へんい)は、右向きに進む波はy1、左向きに進む波はy2としますね。

 

この2つの波がぶつかると、こうなります。

 

図1 2つのパルス波の重ね合わせ

 

2つの波がぶつかると、どちらの波形(はけい)でもない別の波ができますね。
できた波の変位は、2つの波の変位を足し合わせたy1y2になりますよ。

 

その後、2つの波は何事もなかったように、もとの波形や速度を保ったまますり抜けるように進んでいくのです。

 

この波の性質をもう少し詳しく見ていきましょう。
まずは、2つの波がぶつかるときの話からです。

 

重ね合わせの原理と合成波

2つの波がぶつかるとき、どちらの波形でもない別の波ができていましたね。

 

このように、ぶつかった2つの波は重なって1つの波になるのです。
重なってできた波のことを『合成波(ごうせいは)』と言いますよ。

 

さて、合成波の波形は、もとの2つの波の波形とどのような関係にあるのでしょうか。

 

図2 合成波の波形

 

合成波の変位は、2つの波の変位を足し合わせたy1y2になっていますね。

 

つまり、合成波の変位はもとの波の変位の和になるわけです。
このことを『重ね合わせの原理』と言いますよ。

 

次は、合成波の例について見ていきましょう。

 

合成波の例

まずは、2つのパルス波が逆向きに進んでいる場合です。
2つの波が途中まで重なったときの合成波はどんな波形になるでしょうか?

 

図3 逆方向に進む2つの波

 

2つの波の各点の変位を足し合わせれば良いのですから、図4に赤線で示した波形になりますね。

 

図4 図3の合成波

 

次は、上下逆さまの2つの波が逆方向に進んでいます。
2つの波が途中まで重なったときの合成波はどんな波形になるでしょうか?

 

図5 逆方向に進む2つの波

 

上下逆さまの場合は、上向きの青と下向きの緑の変位が打ち消し合いますよ。
重なっていない部分だけはもとの波形になるので、合成波は図6の赤線のようになります

 

図6 上下逆さまの2つの波の合成波

 

ということは、上下逆さまの波が逆向きにやってくると、タイミングが合えば波は一瞬消えてしまうわけですね。

 

図7 上下逆さまの2つの波の合成波

 

このような『重ね合わせの原理』を応用したのが、ノイズキャンセリング機能を持つヘッドフォンです。
その仕組みはこうなっているんですよ。

 

  1. ヘッドフォンが騒音(音波)を検知
  2. ヘッドフォンの回路が、その騒音とは上下逆さまの波形をもつ波をつくる
  3. ヘッドフォンが作り出した波と音楽を混ぜたものを耳に送る
  4. 騒音とヘッドフォンが作り出した波が重なって打ち消し合い、耳には音楽だけ聞こえる

 

図8 ノイズキャンセリング機能

 

図8の青の連続波が騒音、緑の連続波がヘッドフォンが作り出した波だとしましょう。
2つの波は打ち消し合うので、合成波である赤の波だけが残りますね。

 

次は、2つの波がぶつかった後はどうなるのか見ていきましょう。

 

波の独立性

図1に示したように、2つの波が重なった後、もとの波形を保ってすり抜けるように進んでいきますね。

 

波がぶつかってもそれぞれの波の波形は変化せずもとの状態のまま進行することを、『波の独立性』と言います。

 

図9 波の独立性

 

身近な波の代表例である、音声を使って説明しましょうか。

 

あなたと友だちが向かい合って立っています。
2人が同時に声を出したら、相手の声は聞こえますか?

 

ばっちり聞こえますよね。
途中でお互いの声がぶつかっているはずですが、相手の声はちゃんと聞こえるはずです。

 

しかも、相手が発した音が変わらず「そのまま」聞こえますよね。
音はぶつかり合っても変化せず、互いにすり抜けて相手に届くのです。
なので、私たちは会話できているわけですね。

 

この『波の独立性』は、音声に限らずすべての波が持つ性質ですから、よく覚えておきましょう。

 

普通の物体同士がぶつかれば、跳ね返るか壊れるかするので、すり抜けるなんてあり得ませんね。
波の独立性』は波に特有の大切な性質なのです。

 

それでは、例題を解いて合成波の作図をしてみましょう!

 

例題で理解!

例題

2つの波が1秒間に1マスの速さで矢印の向きに進んでいる。
2秒後の合成波を作図せよ。

 

図10 例題の図

 

まず、それぞれの波の2秒後の波形を描きましょう。
右向きに進む波は右に2マス進め、左向きに進む波は左に2マス進めます。

 

次に、それぞれの波の各点の変位を足し合わせて作図をしますよ。

 

すると、図10のような合成波になりますね。
青はもとの波の2秒後の波形、赤はその合成波です。

 

図11 例題の合成波

 

合成波の作図は各点の変位を足し合わせるだけなので、簡単ですよね。

 

続いて、理解度チェックテストにチャレンジです!

 

波の重ね合わせの原理理解度チェックテスト

【問1】
下図の2つのパルス波は、どちらも1秒間に1コマ進む。
2秒後と3秒後の合成波を示せ。

 

 

解答・解説を見る
【解答・解説】

どちらのパルス波も、2秒後は2コマ、3秒後には3コマ進む。
次に、それぞれの波の変位を足し合わせて合成波を作図する。

 

2秒後はどちらのパルス波も2コマ進む。
重なった部分は打ち消し合って赤線のようになり、重ならない部分はもとの波形のままである。

 

 

3秒後はどちらのパルス波も3コマ進む。
もとの波は全て重なって打ち消し合うので、合成波は赤線のようになる。

 

 

まとめ

今回は、波の重ね合わせの原理と波の独立性についてお話しました。

 

波の重ね合わせの原理とは、

  • 複数の波が重なってできた合成波の変位はもとの波の変位の和になる

 

波の独立性とは、

  • 複数の波がぶつかっても、それぞれの波の波形や進行は変化しない

 

合成波の作図は、自分で描けるように練習しましょう!
波の独立性は、波の特有の現象であることを覚えておいてくださいね。

 

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