物質の状態変化にひそむ潜熱!融解や蒸発との関係は?

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「おはよう!」
気持ちの良い朝、起きたらすぐに顔を洗いたくなりますね。
蛇口をひねると、ジャーッと「水」が出てきます。

 

今日は暑いから冷たいものが飲みたいな・・・と思って、アイスティーを注文します。
アイスティーの中には、「氷」が入っていますね。

 

熱いお茶を飲みたいからお湯を沸かそう、と水を入れたケトルを火にかけます。
シュンシュン沸いて「水蒸気」が空気中に飛んでいきますね。

 

「氷」も「水」も「水蒸気」も、同じ水分子H2Oという小さな粒が集まってできています。

 

でも、冷やすとカチカチの「氷」になるし、温めると流れやすい「水」になって、さらに温めると目に見えない「水蒸気」になりますね。

 

このように、物質の姿は温度によって変わるのです。
このことを、科学用語では『状態変化(じょうたいへんか)』と言います。

 

『状態変化』は科学的にはどんな変化なのか、物質には何が起こっているのか、詳しく見ていきましょう。

 

目次

物質の状態変化

状態変化とは?化学変化との違い!

物質が姿を変えて固体・液体・気体の3つの状態に変化することを『物質の状態変化』または『物質の三態(さんたい)』と言います。
その変化は、温度や圧力などの変化によって起こるのです。

 

変化と言えば、『化学変化』を思い出す人がいるかもしれませんね。
注意してほしいのは、状態変化化学変化は違う、ということです。

 

化学変化』とは、物質の化学構造が化学反応により別の物質になってしまうことです。
例えば、鉄に赤い錆(酸化鉄)が発生する現象は化学変化です。

 

4Fe(鉄)+3O2(酸素)→2Fe2O3(酸化鉄)

 

鉄が空気中の酸素と反応して、別の物質である酸化鉄に変わっていますよね。
このように、化学変化は化学反応式で表すことができます。

 

状態変化』とは、物質の化学構造は変わらず固体・液体・気体の3つの状態に変化することです。

 

さて、固体・液体・気体の違いを覚えていますか?

 

そう、物質をつくっている原子・分子の熱運動の激しさが違うのでしたね。
固体より液体、液体より気体の方が激しい熱運動をしています。

 

図1 固体・液体・気体中の原子や分子の熱運動

 

例えば、水を加熱していくと、固体である氷から液体である水になり、最後に気体である水蒸気になります。
逆に冷やしていくと、水蒸気から水、最後に氷になります。

 

この間に水分子H2Oという化学構造は変化していませんね。
水分子H2Oの熱運動の激しさが変わっただけなのです。
ですから、状態変化を化学反応式で表すことはできません。

 

  • 化学変化は、物質が化学反応により別の物質になる変化
  • 状態変化は、物質の化学構造は変わらず固体⇔液体⇔気体の状態になる変化

 

では、身近で分かりやすい物質の状態変化の例として、水の状態変化を詳しく見ていきましょう。

 

水の状態変化

氷を加熱していくと、固体である氷から液体である水に変化し、最後に気体である水蒸気になります。
その状態変化のグラフが図2です。

 

図2 水の状態変化のグラフ

 

いきなりグラフを見せられて、「・・・」となりますよね!
小中学校の理科でも見たグラフですが、何が何だかすぐには思い出せませんよね。

 

どんなグラフでも、情報を読み取るのに必要な3つのポイントがあります。

 

<グラフを読むときの3ポイント>

 

  1. 横軸と縦軸が何か確認する。
  2. グラフ全体の傾向をざっくりつかむ。
  3. 全体の傾向と違っている部分を見つける。

 

このポイントにしたがって、グラフを見ていきましょう。

 

1.横軸と縦軸が何か確認する。
横軸が「加えた熱量[J](ジュール)」、縦軸が「温度[℃]」です。
横軸は右に行くほど、縦軸は上に行くほど量が増えています。
つまり、「水に熱量を加えたときの水の温度変化」を表したグラフなのですね。

 

2.グラフ全体の傾向をざっくりつかむ。
グラフに示された線はどうなっていますか?
ざっくり見ると右肩上がりになっていますね。
つまり、「水に熱量を加えるほど水の温度が上がっている」わけです。

 

3.全体の傾向と違っている部分を見つける。
2.でつかんだ全体の傾向と違う部分はどこでしょう?
0 ℃と100 ℃のところではしばらく温度が上がらず一定になっていますね!
何か起きているのかな?と注意しておきましょう。

 

パッと見でこれくらいの情報がつかめたらOKです。
次は、グラフの内容を詳しく見ていきますね。

 

図3 水の状態変化のグラフ

 

熱量を加えていくと、温度が上がるにつれて、

 

氷(固体)→氷と水が共存(固体と液体)→水(液体)→水と水蒸気が共存(液体と気体)→水蒸気(気体)

 

と変わっていることが分かります。

 

この変化は2つのパターンに分けられることに気がつきましたか?

 

  • 加熱すると温度上昇する:氷(固体)、水(液体)、水蒸気(気体)
  • 加熱しても温度が一定:0 ℃で氷と水が共存(固体と液体)、100 ℃で水と水蒸気が共存(液体と気体)

 

氷(固体)、水(液体)、水蒸気(気体)はそれぞれある1つの「状態」を保っています。
このときに加えられた熱量は、温度を上げるために使われています。
ですから、加熱すると温度が上がるのですね。

 

では、加熱しても温度が一定である0 ℃と100 ℃の部分はどうなっているのでしょう?

 

0 ℃では氷と水が共存(固体と液体)し、100 ℃では水と水蒸気が共存(液体と気体)しています。
2つの「状態」が一緒に存在している、つまり、「状態変化している最中」なのです。

 

  • 0 ℃のときは、0 ℃の氷→0 ℃の水に状態変化
  • 100 ℃のときは、100 ℃の水→100 ℃の水蒸気に状態変化

 

このときに加えられた熱量は、状態変化するために全て使われています。

 

水は水分子H2Oという小さな粒がたくさん集まってできていますね。

 

水分子同士がしっかり結びついて集まっているのが氷(固体)です。

 

結びつきが少しゆるんで分子が動きやすくなったのが水(液体)です。
分子の結びつきは弱くても集まっているので目に見えます。

 

水分子1つ1つがほとんどバラバラに飛んでいるのが水蒸気(気体)です。
水分子同士の間が空いていて、水分子そのものも小さいので目に見えません。

 

状態変化するには、分子間の結びつきを弱めたり切ったりして、熱運動しやすくする必要があります。

 

つまり、熱量は分子間の結びつきを弱めたり切ったりするために全て使われ、温度上昇のためには使われません

 

ですから、加熱しても温度が上がらず一定なのです。
そして、状態変化が終わると温度が上がり始めます。

 

では、「状態変化している最中」について、もう少し見ていきましょう。

 

融解と蒸発と潜熱

0 ℃のときには何が起こっていましたか?

 

氷の温度が0 ℃になると、加えられた熱量が0 ℃の氷(固体)→0 ℃の水(液体)に変化するために全て使われるのでしたね。

 

0 ℃の氷が溶けて0 ℃の水になる、つまり、水分子間の結びつきを弱めて熱運動しやすくするために熱量が使われます。

 

固体→液体への状態変化を『融解(ゆうかい)』と言い、融解する温度を『融点(ゆうてん)』と言います。

 

また、融点の固体1 gを液体にするのに必要な熱量を『融解熱(ゆうかいねつ)』と言い、単位は[J/g](ジュール毎グラム)です。

 

次に、100 ℃のときには何が起こっていたでしょうか?

 

水の温度が100 ℃になると、加えられた熱量が100℃の水(液体)→100℃の水蒸気(気体)に変化するために全て使われるのでしたね。

 

100 ℃の水が100 ℃の水蒸気になる、つまり、水分子間の結びつきを切って空気中に自由に飛び出しやすくするために熱量が使われます。

 

液体→気体への状態変化を『蒸発(じょうはつ)』と言い、融解する温度を『沸点(ふってん)』と言います。

 

また、沸点の液体1 gを気体にするのに必要な熱量を『蒸発熱(じょうはつねつ)』または『気化熱(きかねつ)』と言い、単位は[J/g](ジュール毎グラム)です。

 

そして、融解熱蒸発熱のように、状態変化のために使われて温度変化としては現れない熱量のことを『潜熱(せんねつ)』と呼びます。
はっきりとした温度変化として現れず、ひそんでいるので潜熱、と覚えると良いでしょう。

 

さて、今まで見てきた情報を整理すると、図4のグラフになります。

 

図4 水の状態変化のグラフ

 

ここで融解熱と蒸発熱について一つ補足しておきます。

 

グラフを見て、「融解熱より蒸発熱の方が大きいのかな?」と気づいた人もいるでしょう。
そうです、固体→液体にするための融解熱より、液体→気体にするための蒸発熱の方が大きいのです。

 

固体→液体にするには、分子間の結びつきを弱めて動きやすくするために熱量が使われます。

 

液体→気体にするには、分子間の結びつきを弱めるだけでなく切り離して空気中に自由に飛び出すので、多くの熱量を必要とします。

 

動きやすくするだけより、空気中に分子が1つ1つ自由に飛び出すためには多くのエネルギーが必要そうだね、というイメージで良いでしょう。

 

さて、最後に温度変化する区間について大事なことを話しておきましょう。

 

氷と水の部分の温度変化のグラフの傾きをよーく見てください。
氷よりも水の方がグラフの傾きが小さいのです。

 

実はこの傾きから、比熱の大小が読み取れます!

 

状態変化のグラフと比熱

ところで、『比熱』の定義を覚えていますか?
『比熱』とは、「1 gの物質の温度を1 K(ケルビン)または1 ℃上げるのに必要な熱量」でしたね。

 

QmcΔTという式を使って、比熱と熱量の関係を表すことができます。

 

Q(熱量”quantity of heat”に由来) は熱量、c(比熱容量”specific heat capacity”に由来) は比熱、m(質量”mass”に由来)は質量ですね。
そして、ΔT(Tは温度”temperature”に由来、Δ(デルタ)は変化量を表すギリシャ文字)は温度変化分であることに注意ですよ。

 

この定義から、状態変化のグラフの傾きと比熱の関係が分かります。
状態変化のグラフの横軸は加えた加えた熱量で縦軸は温度ですから、グラフの傾きは「温度変化/熱量」になりますね。

 

ここで比熱の式を使うと、

 

傾き=温度変化/熱量=\(\frac{\it{\Delta} T}{\it{\Delta} Q}\)=\(\frac{1}{\it{mc}}\)

 

つまり、グラフの傾きと比熱は反比例の関係にあるのです!

 

  • グラフの傾きが小→比熱が大
  • グラフの傾きが大→比熱が小

 

ということになります。

 

式変形だけでは分かりにくいので、実際のグラフを見てみましょう。

 

比熱の値が違う1 gの物質が2つあります。
この2つの物質を加熱していくと、比熱が大きい物質の方が、1℃上昇させるのに必要な熱量が大きくなりますね。

 

グラフにすると、図5のようになります。

 

図5 比熱が違う物質の温度を1℃上げるのに必要な熱量の違い

 

別の見方もできますよ。
比熱の値が違う2つの物質に同じ熱量を加えると、比熱が大きい物質の方が温度の上がり方が小さくなります。

 

グラフにすると、図6のようになりますね。

 

図6 比熱が違う物質に同じ熱量を加えたときの温度上昇の違い

 

どちらにしろ、グラフの傾きが小さい方が比熱が大きいことが分かります。

 

ちなみに、氷の比熱は約2.1 J/(g・K)、水の比熱は約4.2 J/(g・K)です。
グラフの傾きが小さい水の方が比熱が大きいですよね。
(実験結果から値を求めるときには誤差が含まれるので、値が多少ずれます)

 

水を例にあげて状態変化についてお話してきましたが、水以外の物質の状態変化も同じような変化をします。
もちろん、物質によって融点・沸点・融解熱・蒸発熱などの値は変わりますよ。

 

では、例題を解いて理解を深めましょう!

 

例題で理解!

例題
例題 100 gの氷に毎秒210 Jの熱量を加え続けた。氷の温度は―20 ℃から加熱時間とともに下のグラフのように変化した。
次の問いに有効数字3桁で答えよ。

(1)氷の比熱は何J/(g・K)か。
(2)氷の融解熱は何J/gか。
(3)水の比熱は何J/(g・K)か。
(4)そのまま加熱し続けると、水の温度は90 ℃になった。  
 水の温度が90 ℃になるのは、加熱を始めてから何秒後か。

 

 

最初に、グラフを読むときの3ポイントを思い出しましょう。

 

1.横軸と縦軸が何か確認する。
横軸が「加熱時間 [s](秒”secondに由来”)」、縦軸が「温度 [℃]」です。

 

毎秒210 Jの熱量を加え続けているので、横軸の加熱時間[s]は加えられた熱量[J](=210×加熱時間)と同じ意味です。

 

つまり、「熱量を加えたときの温度変化」を表したグラフだということです。

 

2.グラフ全体の傾向をざっくりつかむ。
グラフに示された線は、ざっくり見ると右肩上がりになっていますね。
つまり、「熱量を加えるほど温度が上がっている」わけです。

 

3.全体の傾向と違っている部分を見つける。
20秒~180秒の160秒間は、0 ℃のまま温度が一定です。
0 ℃の氷→0 ℃の水へ状態変化している最中ですね。

 

(1)氷の比熱は何J/(g・K)か。

氷の比熱を求めるので、氷のみで温度変化している区間に注目します。
―20 ℃~0 ℃までが氷のみの20秒間ですね。

 

比熱の計算には、QmcΔTを使います。
Qは氷に加えられた熱量です。

 

毎秒210 Jの熱量を加え続けているので、氷に加えられた熱量Qは、
Q=210×20=4200

 

m=100 [g]、温度変化ΔT=20 [℃]ですから、
4200=100×c×20
c=2.1
有効数字3桁なので、氷の比熱は2.10 J/(g・K)です。

 

(2)氷の融解熱は何J/gか。

氷の融解熱を求めるので、0 ℃の氷→0 ℃の水に状態変化している区間に注目します。
20秒~180秒までの160秒間ですね。

 

毎秒210 Jの熱量を加え続けているので、氷に加えられた熱量Qは、
Q=210×160=33600

 

熱量Qは氷100 gに加えられたものです。
融解熱は「固体1 gを液体にするために必要な熱量」ですから、
氷の融解熱=33600/100=336
有効数字3桁なので、氷の融解熱は336 J/gです。

 

(3)水の比熱は何J/(g・K)か

水の比熱を求めるので、水のみで温度変化している区間に注目します。
0 ℃~15 ℃までが氷のみの30秒間ですね。
比熱の計算には、QmcΔTを使いますよ。

 

毎秒210 Jの熱量を加え続けているので、水に加えられた熱量Qは、
Q=210×30=6300

 

m=100 [g]、温度変化ΔT=15 [℃]ですから、
6300=100×c×15
c=4.2
有効数字3桁なので、水の比熱は4.20 J/(g・K)です。

 

(4)そのまま加熱し続けると、水の温度は90℃になった。  
 水の温度が90℃になるのは、加熱を始めてから何秒後か。

90℃までのグラフは示されていませんが、水の状態を保っているので、このグラフの延長線上にあると考えてOKです。

 

ちゃんと説明すると、QmcΔTが成り立つので、mcが一定ならQΔTは比例関係にあります。
一定の熱量を加え続けているので、温度も一定の割合で上がることになりますね。

 

水が0 ℃→90 ℃になるまでにt秒間かかったとすると、加えられた熱量Qは、
Q=210×t

 

水の比熱は4.20 J/(g・K)なので、0 ℃→90 ℃になるまでに必要な熱量Qは、QmcΔTから、
Q=100×4.2×90=37800
210×t=37800
t=180

 

「加熱を始めてから何秒後か」と問われているので、0 ℃の水になるまでの180秒を足して、
180+180=360
有効数字3桁なので、加熱を始めてから360秒後です。

 

別の解き方もありますよ。
180秒~210秒の30秒間に15 ℃上がったので、90 ℃まであと75 ℃です。
75 ℃上がるには何秒かかるのかを計算します。

 

温度は一定の割合で上がっているので、温度が75 ℃上がるのにt秒間かかるとすると、
30 [s:15 ℃=t [s]:75 ℃
15×t=30×75
t=150

 

15 ℃の水になるまでの210秒を足して、
150+210=360
有効数字3桁なので、加熱を始めてから360秒後です。

 

では、仕上げに理解度チェックテストにチャレンジしてみてくださいね!

 

物質の状態変化理解度チェックテスト

【問1】
-10 ℃の氷100 gに熱を加えて、20 ℃の水にしたい。そのために必要な熱量を求めよ。
ただし、氷の比熱は2.1 J/(g・K)、水の比熱は4.2 J/(g・K)、氷の融解熱は336 J/gとする。

解答・解説を見る
【解答】
44100 J

【解説】
-10 ℃の氷が20 ℃の水になるまでには、①-10 ℃の氷→0 ℃の水、②0 ℃の氷→0 ℃の水、③0 ℃の水→20 ℃の水という3つの過程がある。

 

それぞれの過程の熱量を求め、最後に合計の熱量Qを求める。
温度変化をΔT〔K〕とすると、物体が得る熱量はQmcΔTとなる。

 

①-10 ℃の氷100 gを0 ℃の水にするのに必要な熱量Q1は、
Q1mcΔT=100×2.1×{0―(―10)}=2100 J

 

②0 ℃の氷100 gを0 ℃の水にするのに必要な熱量Q2は、氷の融解熱から、
Q2=100×336=33600 J

 

③0 ℃の水100 gを20 ℃の水にするのに必要な熱量Q3は、
Q3mcΔT=100×4.2×(20―0)=8400 J

これより、必要な熱量Qは、
QQ1Q2Q3=44100 J

 

【問2】
36 ℃の水100 gの中に0 ℃の氷50 gを入れるとどうなるか。
ただし、水の比熱は4.2 J/(g・K)、氷の融解熱は336 J/gとする。

解答・解説を見る
【解答】
0 ℃の水145 gと0 ℃の氷5 gになっている。

【解説】
36 ℃の水に0 ℃の氷を入れると、36 ℃の水から0 ℃の氷に熱が移動して氷が融解して水になる。
その結果、氷の一部が残るか、全て融解して水になるかのどちらかだと予想される。

 

0 ℃の氷50 g→0 ℃の水になるための熱量Q1と、36 ℃の水100 g→0 ℃の水になるときに失う熱量Q2を比べる。

 

Q1Q2なら、0℃の氷の全ては水にならず一部の氷が残る。
Q1Q2なら、氷は全て融解する(Q1Q2なら全体が0 ℃の水になる)。

 

0 ℃の氷50 gが全て融解して0 ℃の水50 gになるのに必要な熱量Q1は、氷の融解熱から、
Q1=50×336=16800 J

 

36 ℃の水100 gが0 ℃になるときに失う熱量Q2は、
Q2=100×4.2×(36―0)=15120 J

 

Q1Q2なので、36 ℃の水が全て0 ℃になっても、氷50 gの一部は氷のまま残る。
氷50 gのどれだけが水になったかというと、
50×15120/16800=45 g

 

なので、45 gが水になり、残りの5 gが氷のまま残っている。
0 ℃の水は全体で100+45=145 gある。

 

まとめ

今回は、物質の状態変化と潜熱について、水を例にあげてお話しました。

 

物質の状態変化とは、

  • 物質の化学構造は変わらず固体⇔液体⇔気体になる変化

 

水の状態変化のグラフについては、

  • 融点(0 ℃)と沸点(100 ℃)では温度が一定になり、0 ℃の氷→0 ℃の水や100 ℃の水→100 ℃の水蒸気という状態変化をしている
  • 融点や沸点で加えられた熱量は、分子間の結びつきを弱めたり切ったりするために全て使われて、温度上昇のためには使われない
  • 融解熱より蒸発熱の方が大きい
  • 加えられた熱量に対する温度変化の傾きが小さい方が比熱が大きい

 

潜熱とは、

  • 融解熱や蒸発熱のように、状態変化のために使われて温度変化としては現れない熱量

 

状態変化のグラフでは、温度上昇する区間と平坦な区間で起こっていることの違いを押さえておいてくださいね。

 

次回は、熱力学第1法則についてお話しますね。
こちらへどうぞ。

 

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