熱容量と比熱の違いとは?単位や公式と熱量との関係!

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夏の暑~い日、海に行って泳ぎたくなりますね。
さあ海に入ろう!と砂浜を歩き始めると、
「うわ、足の裏が熱い!」
と走って海に飛び込みます。
「あれ、海は砂浜みたいに熱くなくて気持ちいいな」

 

不思議だと思いませんか?
砂浜も海も同じように日差しを受けていたのに、
砂浜は熱く、海はぬるくて気持ちいいなんて。

 

次は、金属製のお鍋に水を入れて火にかけてみましょう。
お鍋はすぐに触れないくらい熱くなるのに、水が温まるには時間がかかりますね。

 

みなさん、体感的に知っているはずです。
物には、温まりやすいものとそうでないものがあります。
物によって温まりやすさが違うのですね。

 

「物の温まりやすさを数値化したら、物同士の特徴を比べられて便利だろうな」
と昔の科学者たちは考えました。

 

そこで、『熱容量(ねつようりょう)』と『比熱(ひねつ)』という量を使って、物の温まりやすさを数値的に表すことにしました。

 

…といきなり言われても、なかなかピンときませんよね。

 

「熱容量と比熱って何で2種類あるんだろう?物の温まりやすさだから、『』が関係するのは分かるけど…」と思いませんか?

 

では、『』ってそもそも何だっけ?という基本的なところから、『熱容量』と『比熱』についてひも解いていきましょう。

 

熱と熱量

世の中のあらゆる物質は原子や分子という粒々でできています。
そして、原子や分子はいつも揺れ動く熱運動をしているのでしたね。

 

図1 固体・液体・気体中での原子・分子の熱運動

 

この「原子や分子の熱運動の激しさ」を「熱運動のエネルギー(熱エネルギー)」としよう!と科学者たちは決めました。

 

原子や分子が激しく動き回っていればエネルギーが高いし、静かに振動していればエネルギーが低いというわけです。
また、「熱運動のエネルギー(熱エネルギー)」は『』とも言われます。

 

つまり、『熱』とは「原子や分子の熱運動の激しさ」のことであり、エネルギーの一種なのです。
そして、熱の量のことを『熱量』と言います。

 

エネルギーの一種ですから、単位は[J](ジュール)です。
記号はQ(熱量”Quantity of heat”に由来)を使います。
「熱量を与えた」=「エネルギーを与えた」というイメージになりますよ。

 

何となく気づいてきましたか?

 

物を温めるには、エネルギーである熱量が必要です。
ですから、物の温まりやすさを表す『熱容量』と『比熱』とは、「温めるのに必要な熱量はどれくらいか表したもの」なのです。

 

熱容量と比熱の違い

熱容量と熱量の関係

ちょっと具体的な例を考えてみましょう。

 

同じお鍋を2つ用意します。
片方には水500 gを入れ、もう片方には水1000 gを入れます。
同型のコンロに置いて同時に温めると、先に1 K(ケルビン)上がるのはどちらでしょうか?

 

はい、水500 gの方ですね。
同じ水でも、温度を1 K上げるには、500 gの方が必要な熱量が小さく、1000 gの方が必要な熱量が大きいのです。
経験的に分かりますね。

 

この現象を物理学的に言うと、こうなります。
「物体全体の温度を1 K上げるのに必要な熱量が小さい水500 gは熱容量が小さく、必要な熱量が大きい水1000 gは熱容量が大きい」

 

つまり、『熱容量』とは、「物体全体の温度を1 K上げるのに必要な熱量」のことなのです。
記号はC(熱容量”heat capacity”に由来)を使い、単位は[J/K](ジュール毎ケルビン)です。

 

物体の質量が大きいほど温度を1 K上げるのに必要な熱量が大きくなります。
これは、物体の熱容量が大きくなるということです。
また、温度を1 Kよりももっと高く上げるなら、より大きい熱量が必要です。

 

なので、熱容量C [J/K]の物体全体の温度を、温度変化ΔT [K](Tは温度”temperature”に由来、Δ(デルタ)は変化量を表すギリシャ文字)だけ上げるのに必要な熱量Q [J]は、

 

QCΔT

 

となります。

 

例えば、熱容量20 [J/K]の物体全体の温度を10 ℃から40 ℃まで上げる(温度変化ΔT=30 [K])場合に必要な熱量Q [J]は、

Q=20×30=600 [J]

となるわけです。

 

あれ?温度の単位は℃なのに、温度変化ΔTの単位はKですね。
それに、10 ℃から40 ℃へ30 ℃上がった変化をそのままΔT=30 [K]として計算していますよ。

 

セルシウス温度と絶対温度の関係を思い出してみましょう。
1 ℃の温度差は1 Kの温度差と同じでしたね。
だから、30 ℃の温度差を30 Kの温度差として使って良いのです。

 

ところで、Δ(デルタ)は変化した差分を表す記号です。
これからも出てくるので、覚えておいてくださいね。

 

さて、物体の質量が大きいほど熱容量が大きくなることは分かりました。
でも、物質(物体の種類)によっても熱容量は変わるはずですよね。
鉄と水の温まりやすさは、明らかに違います。

 

物質による熱容量の違いを知りたいときは、どうすれば良いのでしょう?

 

比熱と熱量の関係

熱容量の値は、同じ物質でもその質量によって変わるのでしたね。

 

水1000 gを1 K上げるのに必要な熱容量は、水500 gを1 K上げるのに必要な熱容量より大きくなります。

 

質量によって熱容量の値が変わってしまっては、違う物質の温まりやすさを数値で比べることはできません。

 

そこで、科学者たちはひらめきました。
「物質1 gあたりの熱容量なら比べられる!そして、それを『比熱(比熱容量)』と呼ぼう!」

 

つまり、『比熱』とは、「物質1 gあたりの熱容量」であり、「1 gの物質の温度を1 K上げるのに必要な熱量」のことなのです。

 

記号はc(比熱容量”specific heat capacity”に由来し、熱容量を表すCと区別するために小文字で書く)を使い、単位は[J/(g・K)](ジュール毎グラム毎ケルビン)です。

 

では、比熱と熱容量と熱量の関係を式で表してみましょう。

 

比熱c [J/(g・K)]、質量[g](質量”mass”に由来)の物体の熱容量C [J/K]は、

 

Cmc

 

となり、この物体の温度をΔT [K]上げるのに必要な熱量Q [J]は、

 

QmcΔT

 

となります。

 

比熱が大きい物質は、1 gの温度を1 K上げるのに必要な熱量が大きいですから、温まりにくく冷めにくいのです。

 

例えば、熱々のスープを陶器製のカップに入れてもカップはそれほど熱くなりませんが、金属製のカップに入れたらそのカップは熱くて触れませんね。

 

物質1 gの温度を1 K上げるのに必要な熱量が小さい金属は比熱が小さく、必要な熱量が大きい陶器は比熱が大きいということです。

 

さて、ここまでの内容は理解できましたか?

 

続いて、例題にチャレンジしてみましょう。

 

熱容量理解度チェックテスト

【問1】
ある物体20 gに80 Jの熱量を与えると、物体の温度が0 K上昇した。

(1)この物体の熱容量は何J/Kか。
(2)この物体の比熱は何J/(g/K)か。

解答・解説を見る

【解答】
(1)16 J/K (2)0.80 J/(g・K)

【解説】
(1)QCΔTより、
80=C×5.0
C=80/5.0=16 J/K

 

(2)QmcΔTより、
80=20×c×5.0
c=80/(20×5.0)=0.80 J/(g・K)

またはCmcより、
16=20×c
c=16/20=0.80 J/(g・K)

 

【問2】
50 gの水がある。水の比熱を4.2 J/(g・K)として、次の値を求めよ。

(1)この水の熱容量は何 J/Kか。
(2)この水の温度を20 ℃から60 ℃に上げるときに必要な熱量は何 Jか。

解答・解説を見る

【解答】
(1)2.1×10 J/K (2)8.4×103 J

【解説】
(1) Cmcより、
C=50×4.2=210=2.1×10 J/K 

 

(2)20℃から60℃に上げるときの温度差ΔTは40 Kだから、
QCΔTより、
Q=210×40=8400=8.4×103 J

 

まとめ

今回は、熱容量と比熱との違いや熱量との関係についてお話しました。

 

熱容量は、

  • 物体全体の温度を1 Kだけ上げるのに必要な熱量
  • 記号はC(大文字)、単位は[J/K](ジュール毎ケルビン)
  • 熱量Q [J]との関係は、Q=CΔT(ΔTは温度変化 [K])
  • 物体の質量が大きいほど熱容量は大きくなる

 

比熱は、

  • 1 gの物質の温度を1 Kだけ上げるのに必要な熱量
  • 記号はc(小文字)、単位は[J/(g・K)](ジュール毎グラム毎ケルビン)
  • 熱量Q [J]との関係は、Q=mcΔT(ΔTは温度変化 [K])
  • 比熱が大きい物質は温まりにくく冷めにくい

 

熱容量と比熱の関係は、

  • Cmc
    ※質量を表すmの単位がg(グラム)であることに注意!

 

熱容量と比熱はごっちゃになりやすいので、きちんと区別して覚えましょうね。

 

次回は、熱量保存の法則についてお話しますね。
こちらへどうぞ。

 

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