クーロンの法則!公式と問題もわかりやすく解説!

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今回からは、電磁気分野の物理編に入りますよ。

 

難しくありませんよ、ただね・・・ボリュームが多いだけです!
一歩一歩、一緒に進めていきましょうね!

 

では、静電気力(せいでんきりょく)またはクーロン力の大きさが分かる『クーロンの法則』から学んでいきましょう。

 

「静電気力」という言葉は、物理基礎でも学びましたね。

 

静電気力については、

 

  • 違う符号の電荷(でんか)同士には引力が働き、同じ符号の電荷同士には斥力(せきりょく)が働く
  • 2つの電荷の電気量が大きいほど、2つの電荷の距離が近いほど静電気力は大きい

 

という「静電気力の向き」と「静電気力の大きさが変わる条件」の知識で止まっています(忘れていたら、こちらですぐに復習!)。

 

さて、静電気力の実際の大きさはどう求めれば良いの?という疑問に答えてくれるのが、『クーロンの法則』なんですよ。

 

目次

クーロンの法則

クーロンの法則と公式

フランスの物理学者であるシャルル・ド・クーロン(何だかおしゃれな名前ですね)は、
「電荷同士の間には力が働くけど、その力の大きさはどうやって決まるんだろう?」
と不思議に思い、研究を続けていました。

 

膨大な実験を繰り返し・・・、そして、2つの電荷の間に働く静電気力F [N](Fは力”force”に由来、[N]は力の単位ニュートン)の大きさについて、次のような関係を発見したのです!

 

  1. 静電気力F [N]の大きさは、2つの電荷の電気量の大きさq1 [C](クーロン)とq2 [C]の積に比例する。
  2. 静電気力Fの大きさは、2つの電荷間の距離r [m]の2乗に反比例する。

 

図1 2つの電荷の間に働く静電気力

 

1.の条件を簡単に言えば、「2つの電荷の電気量が大きいほど静電気力が大きい」、ということですね。

 

数式で表すと、F∝|q1q2|(∝:比例関係を表す記号)ですよ。
q1q2|は、q1q2の大きさの積です。
電気量の大きさの積なので、電荷の符号を取って絶対値で表すのですね。

 

図2 F∝|q1q2|のイメージ

 

続いて、2.の条件を簡単に言えば、「2つの電荷の距離が2倍、3倍、・・・と離れていくと、静電気力は\(\frac{1}{4}\)倍、\(\frac{1}{9}\)倍と急激に弱まる」ということですよ。

 

数式で表すと、F\(\frac{1}{r^{2}}\)ですね。

 

図3 F\(\frac{1}{r^{2}}\)のイメージ

 

そこで、この2つの条件をまとめて1つの数式で表そう!ということで、以下の公式が導かれたわけです。

 

Fk0\(\frac{\left|{q}_{1}{q}_{2}\right|}{{r}_{2}}\) 

(クーロン定数:k0=9.0×109 N・m2/C2)

 

クーロンの法則の公式は、必ず覚えておきましょう!

 

ところで、テキストによっては、クーロンの法則が絶対値をつけない形で書かれていますね。

 

絶対値をつけないと、2つの電荷が異符号ならF<0で引力、同符号ならF>0で斥力を表すのでしょうが・・・、

 

電荷の符号から静電気力Fが引力か斥力か分かるので、絶対値をつけないメリットがあるとは思えません。
むしろ、クーロンの法則で分かるのは、静電気力Fの大きさであることをちゃんと理解してくださいね。

 

 

さて、「クーロンの法則を覚えるなら、比例定数kの値も覚えなくちゃいけないの?」と思った人もいるでしょう。

 

問題文で必ず与えられるので、具体的な値は覚えなくて良いですよ。

 

比例定数の値

k0はクーロン定数と呼ばれる比例定数で、クーロンさんが実験に実験を重ねてその値が決まりました。

 

k09.0×109 N・m2/C2は、電荷を真空中に置いたときの値で、空気中でもほぼ同じ値になりますよ。

 

そして、クーロン定数は、2つの電荷の間がどんな物質で満たされているかによって変わるのです。

 

クーロンの法則の公式には比例定数k0がくっついていること、比例定数の値は決まっていることだけは覚えておいてくださいね。

 

 

では、例題を2問解いてみましょう!

 

電荷が出てくる問題では、電荷の符号や静電気力が引力か斥力かをはじめに確認すると解きやすくなりますよ。

 

例題で理解!

例題1
電気量が2.0×10-8 [C]と-4.0×10-9 [C]の点電荷が0.30 m離れて置かれている。
このとき、点電荷の間に働く静電気力の大きさを求め、その力が引力か斥力かも答えよ。
ただし、クーロンの法則の比例定数k0=9.0×109 N・m2/C2とする。

 

問題文から、パッと下図のような状況を想像できると良いですね。
頭だけで考えるより、図を描く方が間違えませんよ。

 

図4 点電荷の間に働く静電気力

 

2つの点電荷の電気量が異符号ですから、生じる静電気力は引力ですね。
では、クーロンの法則を使ってその引力の大きさを求めましょう。

 

代入するのは、点電荷間の距離と電気量の大きさ=絶対値ですね。
電気量の符号を取って、大きさを代入しましょう。

 

r=0.30、q1=2.0×10-8q2=4.0×10-9をクーロンの法則に代入すると、

 

Fk0\(\frac{\left|{q}_{1}{q}_{2}\right|}{{r}_{2}}\)=9.0×109×\(\frac{(2.0×{10}^{-8})×(4.0×{10}^{-9})}{{0.30}^{2}}\)\(\frac{72×{10}^{-8}}{{9.0}^{-2}}\)8.0×10-6〔N〕

 

点電荷間の静電気力は、8.0×10-6 Nの引力ですね。

 

次は、力のつり合いも絡んだ問題ですよ!

 

例題2
下図のように、q1 [C]に帯電した質量3.0×10-3 kgの球Aをナイロン糸でつるした。
q2=-3.0×10-7 Cに帯電した球Bを球Aと同じ高さに保ちながら近づけると、球Aと球Bは反発し、球Aをつるしたナイロン糸の鉛直線となす角度が45°になった。
このとき、球Aと球B間の距離は30 cmであった。
重力加速度の大きさを9.8 m/s2、クーロンの法則の比例定数k0=9.0×109 N・m2/C2して、以下の問いに答えよ。

(1)球Aが受ける静電気力の大きさを求めよ。
(2)球Aの電気量を求めよ。

図5 球Aに球Bを近づけたときの様子

 

ナイロン糸につるした球Aに球Bを近づけたら、反発し合ったということですね。

 

(1)球Aが受ける静電気力の大きさを求めよ。

球Aに働く力を図に書き込んでみましょう。

 

球Aに働く力は、静電気力F、ナイロン糸の張力T(張力”tension”に由来)、鉛直下向きの重力mg(mは質量”mass”に由来、gは重力加速度で重力”gravity”に由来)ですね。
この3つの力がつり合っているわけです。

 

図6 球Aに働く力のつり合い

 

力のつり合いの関係から、

 

tan45°=\(\frac{F}{mg}\)

Fmgtan45°=3.0×10-3×9.8×1=29.4×10-3=2.94×10-22.9×10-2 N

 

静電気力の大きさは2.9×10-2 Nですね。
問題文に出てくる数値は有効数字2桁なので、答えも有効数字2桁にしましょう。

 

(2)球Aの電気量を求めよ。

球同士が反発した、ということは、2球の間に働く静電気力は斥力ですね。
なので、球Aは球Bと同符号である負電荷を持つわけです。

 

図7 反発し合う球Aと球B

 

2球間の距離r=30 cmですが、r=0.30 mと単位変換することに注意ですよ。

 

クーロンの法則Fk0\(\frac{\left|{q}_{1}{q}_{2}\right|}{{r}_{2}}\)から、

 

q1|=\(\frac{F{r}^{2}}{k\left|{q}_{2}\right|}\)\(\frac{2.94×{10}^{-2}×{0.30}^{2}}{9.0×{10}^{9}×3.0×{10}^{-7}}\)=0.98×10-69.8×10-7 C

 

球Aの電気量は-9.8×10-7 Cですね。
「電気量の大きさ」ではなく「電気量」が問われているので、電荷の符号も答えてくださいね。

 

「(1)で求めた静電気力は2.9×10-2 Nなのに、なぜ2.94×10-2 Nを代入したの?」と思いましたか?

 

2.9×10-2は四捨五入して有効桁数を合わせた数値ですよね。
こういう数値をもう一度計算で使う場合は、求めたい有効桁数よりも有効桁数を1つ増やした数値を使うと、計算の精度が下がりません。
なので、有効数字2桁の2.9×10-2ではなく、有効数字3桁の2.94×10-2を使ったわけです。

 

クーロンの法則は理解できましたか?
仕上げに、チェックテストで理解を深めましょう!

 

クーロンの法則理解度チェックテスト

【問1】
天井から長さlの2本の糸をつるし、それぞれ質量m [kg]の球を取りつけた。
2本の糸は2\(\sqrt{2}\)l [m]離れた位置につるされている。
この球に、同じ大きさで異種の電気量を与えると、糸は天井と45°の角度をなして止まった。
このとき、球に与えた電気量の大きさを求めよ。
重力加速度はg、クーロンの法則の比例定数をkとする。

 

解答・解説を見る
【解答】
\(\sqrt{\frac{2mg}{k}}l\)

【解説】
球に働く力のつり合いを考える。
球に働く静電気力をF、糸の張力をT、球に与えた電気量の大きさをqとすると、力のつり合いはこのような図になる。

 

 

クーロンの法則より、球に働く静電気力Fk\(\frac{q^{2}}{\left(\sqrt{2}l\right)^{2}}\)となる。

 

水平方向の力のつり合いは、Tcos45°=Fk\(\frac{q^{2}}{\left(\sqrt{2}l\right)^{2}}\)
垂直方向の力のつり合いは、Tsin45°=mg

 

T=\(\sqrt{2}\)mgなので、

\(\sqrt{2}\)mgcos45°=k\(\frac{q^{2}}{\left(\sqrt{2}l\right)^{2}}\)

mg\(\frac{kq^{2}}{2l^{2}}\)

q=\(\sqrt{\frac{2mg}{k}}l\)

 

まとめ

今回は、クーロンの法則についてお話しました。

 

クーロンの法則とは、

  • 2つの点電荷q1 [C]とq2 [C]の間に働く静電気力F [N]は、点電荷の電気量の大きさの積に比例し、点電荷間の距離r [m]の2乗に反比例する
  • Fk0\(\frac{\left|{q}_{1}{q}_{2}\right|}{{r}_{2}}\)(クーロン定数:k0=9.0×109 N・m2/C2)

 

クーロンの法則は、2つの点電荷の間に働く静電気力はこの式に代入すれば分かります、というもので、まあこれだけなんですよ。

 

ただ、この先も似た形の式が色々と出てきます。
ごっちゃにならないように、クーロンの法則はここでしっかり覚えておきましょうね。

 

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