静電気と帯電の関係!電気量保存の法則!

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静電気(せいでんき)』と聞いて、あなたは何を思い浮かべますか?

 

毛糸のセーターを脱ぐときにパチパチッとくるあの感じですか?
あれは痛いし、何よりビックリします!

 

それとも、下敷きで頭をこすって、髪の毛を逆立てて遊んだ小学校での思い出ですか?
私もよくやってましたけど、楽しいですよね。

 

実は、静電気が関係する現象や装置はたくさんあるんですよ。

 

ピカッゴロゴロ・・・とくる雷、
スマートフォンやゲームなどのメモリーカード、
学校やコンビニに置いてあるコピー機、
花粉の季節に大活躍するマスクや空気清浄機、
エレベーターやスマートフォンのタッチパネル、
などなど・・・・・・

 

人間の生活にとても役立っているんですね!
それは、科学者たちが、電気の正体や静電気が発生する仕組みを解明したからなのです。

 

では、『静電気』が発生する仕組みについて詳しく見ていきましょう。

 

静電気の正体

静電気の例で、毛糸のセーターを脱ぐときにパチパチッとするとか、下敷きで頭をこすって髪の毛を逆立てるとかがありました。
うーん、静電気は物体と物体の間で発生しているのでしょうか?

 

世の中のあらゆる物体は、原子(げんし)という小さな粒々からできているのでした。
そうすると、静電気には、どうも原子が関係しているようですね!

 

なので、原子の構造を知るところから始めて、静電気についてひも解いていきましょう。

 

原子の構造と陽イオン

図1が原子の構造です。

 

原子の中心に、原子核(げんしかく)という陽子(ようし)と中性子(ちゅうせいし)が集まってできたカタマリがありますよ。
その原子核の周りを、電子がぐるぐるまわっていますね。

 

図1 原子

 

 

陽子は正の電気を、電子は負の電気を帯びているんですよ。

 

物体が持つ電気のことを『電荷(でんか)』と言い、大きさを考えない点のような電荷を『点電荷(てんでんか)』と言います。
ですから、陽子は正電荷(せいでんか)を、電子は負電荷(ふでんか)を持っているのですね。

 

そして、電荷が持っている電気の量のことを『電気量(でんきりょう)』と言い、[C](クーロン)という単位が使われています。
「1 Cの点電荷がある」とは、「1 Cの電気の粒がある」ということになりますね。

 

宇宙にある全ての陽子や電子は、ある大きさの電気量を持っているんですよ。
その電気量は、どの電子や陽子についても、

 

  • 電子1個は、-e=-1.6×10-19 C
  • 陽子1個は、+e=+1.6×10-19 C

 

と決まっています。

 

e [C]はこれ以上分けられない電気量の最小単位で、『電気素量(でんきそりょう)』と言います。
電気の素(最小単位)の量という意味ですね。
ですから、全ての電気量は+4e [C]や-2e [C]のようにe [C]の整数倍で表すことができますよ。

 

原子には、水素H、ヘリウムHe、炭素C、酸素Oなど色々な種類がありますね。

 

水素Hは陽子が1個と電子が1個、
ヘリウムHeは陽子が1個と電子が2個、
炭素Cは陽子が6個と電子が6個、
酸素Oは陽子が8個と電子が8個、
のように、全ての原子は陽子と電子の数が同じなのです。

 

ですから、原子は全体として電荷を持たないわけですね。

 

陽子と電子は同じ数で、お互いに反対の電気量を持っています。
原子全体の電荷はプラスマイナスゼロになるのですね。

 

物体が電荷を持たない状態にあることを、電気的に中性と言います。
原子は基本的に中性ですから、ほとんどの物体は電気的に中性なんですよ。

 

ところで、電子には面白い性質があるのです。
居心地が良い場所が他にあると、そちらに移動するのですね。
原子から、ポコーンと家出するわけです。

 

原子から電子が1つポコーンと出ていったものは、図2のようになりますね。
これを、1価の陽イオンと呼びます。

 

図2 陽イオン

 

さて、図2の陽イオンには電子が2個、陽子が3個あります。
全体の電気量は何[C]になるでしょうか?

 

はい、+3e+(-2e)=+e [C]ですね。
陽子1個と同じ電気量になるわけです。
1価の陽イオンは、+e [C]の正電荷を持ったカタマリとみなせますね。

 

電気的には、原子1個(中性)は1価の陽イオン1個(正電荷)と電子1個(負電荷)のペアでできているとも言えますよ。

 

この陽イオンと電子が、静電気に関わってくるのです。
ここから先は、陽イオンはに+、電子はに-の図で表しますね。

 

さあ、静電気が発生する仕組みを見ていきましょう。

 

静電気と帯電

電気の基本的な性質

物体が持つ電気を『電荷』と言い、その量を『電気量』と言うのでしたね。
電荷には正の電気を帯びた正電荷と負の電気を帯びた負電荷があるのでした。

 

正電荷同士や負電荷同士のように、同じ種類の電荷にはお互いに反発し合う力が働きますよ。
でも、正電荷と負電荷という違う種類の電荷には、お互いに引きつけ合う力が働くのです。

 

電荷の間に働く力は、『静電気力(せいでんきりょく)』または『クーロン力』と呼ばれています。
静電気力には、次の2種類があるんですね。

 

  • 斥力(せきりょく):同じ種類の電荷がお互いに反発し合う力
  • 引力(いんりょく):違う種類の電荷がお互いに引きつけ合う力

 

 

図3 斥力と引力

 

 

静電気力の大きさは、電荷の大きさと電荷同士の距離によって変わりますよ。
感覚的に何となく分かる気がしますね。

 

  • 2つの電荷の電気量が大きいほど、静電気力は大きい
  • 2つの電荷の距離が近いほど、静電気力は大きい

 

図4 静電気力の変化(引力の例)

 

さて、髪の毛と下敷きのように、2つの違う物体をこすり合わせると、何が起こるのでしょう?

 

もともと電気的に中性だった物体をこすり合わせると、片方の物体は正の電気を、もう片方の物体は負の電気を帯びるのですね。
昔の科学者たちが明らかにしました。

 

このように、物体が正や負の電気を帯びることを、『帯電(たいでん)』と言いますよ。

 

例えば、透明なアクリルでできたペン立てをティッシュでこすってみましょう。
ティッシュがペン立てに吸いついてしまいますよね。

 

これは、アクリルのペン立てが正の電気を帯びて、ティッシュが負の電気を帯びたからなのです。
つまり、ペン立ては正に帯電し、ティッシュは負に帯電したので、引きつけ合うというわけですね。

 

ここで、帯電のイメージを図5のように表してみました。
ある物体の中にある陽イオンがに+、電子がに-ですよ。

 

図5 帯電のイメージ

 

左端の(1)の上の図を見てみましょう。
正電荷を持つ陽イオンと負電荷を持つ電子が同じ6個ずつなので、打ち消しあっているわけです。

 

物体全体の電気量は+6e+(-6e)=0 Cなので、電気的に中性ですね。
ペアになって打ち消し合う陽イオンと電子は、下の図のように図示しないことにします。

 

では、真ん中の(2)はどうですか?
上の図では、陽イオンが6個、電子が4個ありますね。
物体全体の電気量は+6e+(-4e)=+2e Cなので、正に帯電していますよ。

 

最後に、右端の(3)を考えてみましょう。
上の図では、陽イオンが6個、電子が8個ありますね。
物体全体の電気量は+6e+(-8e)=-2e Cなので、負に帯電していますよ。

 

このように、帯電という現象には、正電荷を持つ陽イオンと負電荷を持つ電子が関係してくるわけです。

 

では、物体が帯電する仕組みと静電気の関係について、核心にせまっていきましょう!

 

帯電の原理と静電気

髪の毛を下敷きでこすったときに何が起きているのか、図6に描いてみました。
に+は陽イオン、に-は電子を表しますよ。

 

図6 髪の毛を下敷きでこすったときの電子の移動

 

最初は、髪の毛と下敷きのどちらでも、陽イオン4個と電子4個が1つずつペアになっています。
つまり、電気的に中性ですね。

 

ここで、髪の毛を下敷きでこすると・・・、

 

髪の毛にいた電子たちは、居心地が良い下敷きへと移動しまうのです!
ところが、陽イオンは重たい原子核を持っているので全く動きません。

 

ですから、

 

  • 髪の毛には陽イオンよりも電子が少ない→正に帯電
  • 下敷きには陽イオンよりも電子が多い→負に帯電

 

となるので、髪の毛と下敷きは違う種類の電気を帯びていますね。
結果として、髪の毛は下敷きに吸いつけられるわけです。

 

このように、帯電した物体にたまっている電気を『静電気』と言いますよ。
流れることなくたまっている電気なので、「静」電気なのです。

 

帯電』は、物体が正や負の電気を帯びる現象のことですね。
そして、『静電気』は帯電した電気そのものなのです。

 

じゃあ、「動」電気ってあるの?と思いますよね。

 

「動」く電気ということは、電気が「流」れている、つまり、電流のことですよ。
負の電気を帯びた電子が移動する=電気が流れることなんですね。

 

あなたがセーターを脱ぐときに、パチパチッとしますよね。
あなたの身体とセーターがこすれるので、電子が移動して、身体とセーターが帯電するからです。
身体とセーターに静電気がたまった状態ですね。

 

そのまま、金属製のドアノブを触ると、バリッとして火花まで見えたりします。
これは、帯電したあなたの身体が中性に戻ろうとして、身体とドアノブの間で電子が移動したからなんですよ。

 

帯電しているときは『静電気』ですが、電子が移動する間だけは動電気である『電流』なんですね。

 

さて、ここまでは物体をこすり合わせると帯電する、というお話をしてきました。
物体をただくっつけただけでは帯電しないのでしょうか?
どうしてもゴシゴシこすり合わせる必要があるのでしょうか?

 

接触帯電と摩擦帯電

帯電していない髪の毛と下敷きを、ペタッとくっつけてみましょう。
下敷きに髪の毛がちょっぴり吸いついたかな・・・、
はっきり分かりませんね。

 

ここで、下敷きで髪の毛をこすると・・・、
髪の毛が逆立つほどたっぷり吸いつきました!

 

実は、ゴシゴシこすらなくても、接触した瞬間に静電気は発生しているんですよ。
この現象を、『接触帯電(せっしょくたいでん)』と言います。

 

でも、接触しただけではわずかな静電気しか発生しないのですね。
こすり合わせると、より多くの静電気を発生させることができますよ。
この現象を、『摩擦帯電(まさつたいでん)』と言います。

 

物体をこすり合わせると、どうして静電気が多く発生するのでしょう?

 

人間の目では平べったく見える物体の表面でも、実は、目に見えない凹凸だらけなのです。
小さい電子から見れば、大きい凹凸だらけで、物体同士がピッタリくっついていないのですね。

 

ですから、電子はなかなか物体の間を移動できなくて、あまり帯電できないわけです。

 

図7 物体AとBをペタッとくっつけたときの境目

 

ここで、物体AとBをゴシゴシこすり合わせると・・・、

 

図8 物体AとBをゴシゴシこすり合わせたときの境目

 

AとBが接触する面積が増えるので、電子が移動しやすくなりますよ。
つまり、多くの静電気が発生するわけですね。

 

ところで、どの物体に電子が移動しやすいの?と思いませんか?
それは、物体によって違うのですね。

 

例えば、正に帯電しやすいのは人の手、髪の毛、ガラスなどです。
負に帯電しやすいのはアクリル、塩化ビニル、ポリエチレンなどがありますよ。

 

さて、帯電するときは、物体の間を電子が移動していますね。
電子は、移動中にどこかへ逃げてしまったりしないのでしょうか?

 

電気量保存の法則

物体をこすると、電子が移動するので、物体は正か負に帯電しますね。

 

でも、移動した先で電子が消えたり、突然生み出されたりすることはありませんよ。
つまり、電子が移動する前後で、電気量の総和は変わらないのです。
このことを、『電気量保存の法則(でんきりょうほぞんのほうそく)』と言います。

 

髪の毛を下敷きでこすったときの例を見てみましょう。

 

図9 髪の毛を下敷きでこすったときの電子の移動

 

こする前は、髪の毛に陽イオン4個と電子4個がいて、下敷きにも陽イオン4個と電子4個がいましたね。
髪の毛と下敷きにいる陽イオンの総和は8個、電子の総和は8個です。

 

こすった後は、髪の毛に陽イオン4個と電子0個、下敷きに陽イオン4個と電子8個がいますね。
髪の毛と下敷きにいる陽イオンの総和は8個、電子の総和は8個です。

 

というわけで、こする前後で、髪の毛と下敷きにいる電気量の総和は変わっていませんね!

 

さて、ここまでは髪の毛を下敷きでこする例やアクリルのペン立てをティッシュでこする例についてお話してきました。

 

これらは、もともと電気的に中性だった物体の間で電子が移動するので、物体が帯電して引きつけ合う、という話でしたね。

 

では、帯電させた物体をくっつけると、どうなるのでしょうか?
次の例題を見てみましょう。

 

例題で理解!

例題

形状や材質が全く同じ2つの金属球AとBがある。
Aを+4e [C]、Bを-2e [C]に帯電させた。
AとBを接触させて十分時間が経ったあとに離した。
AとBそれぞれが持つ電気量を求めよ。

 

帯電しているAとBを接触させると、どうなるでしょう?

 

AとBは全く同じ金属球ですから、電子の居心地も同じですね。
ですから、AとBが同じ電気量になるように電子が移動します!

 

そして、電気量保存の法則から、AとBが接触する前後で電気量の総和は変わりませんよ。

 

接触後の金属球が持つ電気量をxとすると、AとBが持つ電気量はそれぞれxですから、

+4e+(-2e)=xx
x=+e

AとBはそれぞれ+e [C]の電気量を持つわけですね。

 

計算ではこうなりますが、いまいちピンときませんね。
分かりやすく図10で考えてみましょう。

 

最初の状態では、AもBも陽イオンと電子がぎゅうぎゅうにつまっています。
ペアになって打ち消し合う陽イオンと電子は図示していませんよ。

 

図10 帯電した2つの金属球

 

AとBを接触させます。
まずはBの電子2個が移動してAの陽イオン2個とペアになり、打ち消し合いますね。

 

さて、Aの陽イオン2個が余り、Bは電気的に中性になりました。
これでは、AとBの電気量が同じではありませんね。
でも、動けるのは電子だけで、陽イオンは動けません。

 

なので、Bにいる陽イオンと電子のペアから、電子1個がAに移動するのです!
これで、Aには陽イオン1個、Bにも陽イオン1個で同じ電気量+e [C]になりました。

 

もともと電気的に中性な物体の間でも電子は移動するし、帯電させた物体の間でも電子は移動するのですね。
そして、どちらの場合も電気量保存の法則は成り立ちますよ。

 

それでは、理解度チェックテストにチャレンジしましょう!

 

静電気と帯電理解度チェックテスト

【問1】
次の文章中の( )を埋めよ。

原子は、陽子と中性子からできた正の電荷を持つ(ア)と、負の電荷を持つ(イ)で構成されている。(ア)の電気量を+e〔C〕とすると、(イ)の電気量は(ウ)と表せる。
異なる2種類の物体をこすり合わせると、(イ)が移動して、物体は別々の種類の電気を帯びる。この現象を(エ)と言い、帯びた電気のことを(オ)と言う。

解答・解説を見る
【解答】
(ア)原子核 (イ)電子 (ウ)-e (エ)帯電 (オ)静電気

 

【問2】
下の図では1価の陽イオン、は電子を表す。
(1)物体の全電気量を求めよ。

(2)形と材質が全く同じ金属球AとBがあり、Aを+6e [C]、Bを-2e [C]に帯電させた。
AとBを接触させて十分時間が経ってから離した。
AとBが持つ電気量を求めよ。

 

解答・解説を見る

【解答】
(1)+3e [C] (2)AとBの電気量はそれぞれ+2e [C]

【解説】
(1)陽イオンは+e [C]、電子は-2e [C]の電気量を持っている。
ペアで打ち消すと、陽イオンが3個残るので、+3e [C]の電気量を帯びている。

 

(2)AとBを接触させると、金属球中の電子が移動する。
全く同じ金属球だから、電子の居心地も同じなので、Bにたまった電子はAに移動していく。

 

電気量の総和はAとBが接触した前後で変わらない。
接触後のAとBの電気量をxとすると、電気量保存の法則より、
(+6e)+(-2e)=xx
x=+2e

図解で説明する。
Aの陽イオン6個とBの電子2個が余っている。
Bから移動した電子2個がAの陽イオン2個と打ち消し合うので、Aに陽イオン4個が残り、Bは電気的に中性になる。

 

そこで、Bにいる陽イオンと電子のペアから電子2個がAに移動し、Aの陽イオン2個と打ち消し合う。
なので、AとBには陽イオン2個ずつが分布する。

 

まとめ

今回は、静電気と帯電、電気量保存の法則についてお話しました。

 

帯電とは、

  • 物体が正や負の電気を帯びる現象

 

静電気とは、

  • 帯電した物体にたまっている電気

 

電気量保存の法則とは、

  • 電子の移動の前後で、電気量の総和は変わらないこと

 

電気的に中性な状態では、陽イオンと電子のペアが隠れていますよ!
そこを忘れないでくださいね。

 

次回は、導体と不導体についてお話しますね。
こちらへどうぞ。

 

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