弾性力とフックの法則!ばね定数の求め方と単位!

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今回は、『接触力(せっしょくりょく)』の1つである『弾性力(だんせいりょく)』について学びましょう。

 

弾性力』の身近な例と言えば、ビヨーンビヨーンと伸び縮みするばねですね。

 

ばねを伸ばすと縮めようとする力が働きますし、縮めると伸びようとする力が働きますね。
このもとに戻ろうとする力が『弾性力』なんですよ。

 

弾性力の面白いところは、物理では珍しく、力の大きさが目に見えるところですね。
ばねの伸びる長さや縮む長さとして見えることを利用したのがばね秤ですよ。

 

さて、ばねを触ったときのことを思い出してみましょう。
手元にあったら、伸び縮みさせてみてくださいね。

 

ばねを伸ばせば伸ばすほど、縮めれば縮めるほど、もとに戻ろうとする力が強く感じられませんか?

 

ばねの伸び縮みの長さと『弾性力』の大きさには関係があるのです。
それが、『フックの法則』ですよ。

 

目次

弾性力とフックの法則

弾性力と作用反作用

ばねは、伸ばせば伸ばすほど、縮めれば縮めるほど、もとに戻ろうとする力である『弾性力』が強くなりますね。

 

ばねの伸び、とは何の力も加えていない自然長からの伸びのことなので注意しましょう。

 

あるばねに1 N(ニュートン)、2 N、3 N、・・・と力を加えてばねを伸ばしていきますよ。
このとき、ばねを引く力が大きくなるほどばねの伸び[m]はa、2a、3a、・・・と大きくなりますね。

 

図1 ばねを引く力と弾性力とばねの伸び

 

図1のように、左端を固定したばねを右向きに引っ張って静止したとします。
ばねを引く力は右向きですが、もとに戻ろうとする弾性力はばねが縮む向きである左向きに働きますよ。

 

つまり、ばねを引く(または押す)力が作用ならば弾性力は反作用なんですね。
なので、弾性力とばねを引く(または押す)力の大きさは同じで向きは逆になるわけです。
(作用反作用の関係はこちらで復習!)

 

ばねを引いて伸ばすときの弾性力の向きは、ばねが縮む向きですね。
逆にばねを押して縮めるときの弾性力の向きは、ばねが伸びる向きですよ。

 

図2 ばねが伸び縮みする向きと弾性力の向き

 

では、弾性力の大きさとばねの伸びの関係を見ていきましょう。

 

フックの法則

図1の弾性力とばねの伸びの関係をグラフにしてみました。

 

図3 弾性力とばねの伸びのグラフ

 

ばねの弾性力の大きさはばねの自然長からの伸びに比例していますね。
このことを、イギリスの物理学者ロバート・フックさんにちなんで『フックの法則』と言いますよ。

 

ばねの伸びの長さx [m]と弾性力の大きさF [N](力を表す”force”の頭文字)の関係は、

 

Fkx

 

比例定数のkばね定数で、単位は[N/m](ニュートン毎メートル)ですよ。

 

kはドイツ語で「定数」を意味するKonstanteの頭文字です。
比例定数を表すときに良く使われますよ。

 

さて、x=1 mのときはFkですね。
つまり、ばね定数kはばねを1 m伸ばしたときの弾性力なんです。

 

ばね定数kが大きいほどもとに戻ろうとする弾性力が大きくなるわけですね。
ですから、ばね定数kはばねの硬さを表すことになりますよ。

 

硬いばねと軟らかいばねを伸ばしてみましょう。
同じ長さを伸ばすのに必要な力の大きさは、硬いばねの方が大きいですよね。

 

なので、硬いばねのkは軟らかいばねのkより大きくなりますよ。
ばねによってkの値は違うんですね。

 

ここで、フックの法則を使ってばねの伸びを求めてみましょう。

 

質量m [kg]の物体が、天井からばね(ばね定数k)でつるされて静止していますよ。
このときのばねの伸びはx [m]、ばねは軽い(ばねに働く重力は考えない)ものとします。

 

図4 ばねでつるされた物体

 

物体に働く力は、鉛直下向きの重力mg(gは重力加速度で”gravity”の頭文字)と鉛直上向きの弾性力kxですよ。

 

この2力のつり合いの式はkxmgですね。
なので、ばねの伸びはx\(\frac{mg}{k}\)となるわけです。

 

次に、ばねの両端に働く力に注目してみましょう。
物体、ばね、天井に働く力を全て書き出してみますよ。

 

図5 ばねにつるされた物体

 

物体に働く力はつり合っているので、kxmgでしたね。

 

物体がばねの下端を引く力の大きさはF1で、ばねの下端が物体を引く力の大きさはkxです。
この2力は作用反作用の関係なので、F1kxですよ。

 

天井がばねの上端を引く力の大きさはF2で、ばねの上端が天井を引く力の大きさはF3ですね。
この2力も作用反作用の関係なので、F2F3となります。

 

そして、ばねは軽くてばねに働く重力を考える必要はないので、ばねに働く力のつり合いはF1F2ですよ。

 

まとめると、F1F2F3kxmgなんですね。

 

つまり、ばねが伸びるときは両端が同じ力で引かれているわけです。
このときにフックの法則Fkxが成り立つのですね。

 

F1<F2の場合は、そもそもばねは伸びません。
F1>F2の場合は、ばねを引っ張ると天井から落ちますよ。

 

 

さて、ここまではばね1本の弾性力を考えてきました。
実際には、ばねをつなげて使うこともありますよね。

 

次は、ばねをつなげた場合のばねの弾性力について見ていきましょう。

 

ばねの合成

いくつかのばねをつなげた場合、それを1本のばねとみなすことがあります。
このことを『ばねの合成』と言いますよ。

 

そして、まとめた1本のばねのばね定数を『合成ばね定数』と呼びます。

 

ここでは、ばねを並列につなげた場合と直列につなげた場合について考えてみましょう。

 

並列につないだばね

ばねを並列につなげると、ばねは伸ばしやすくなるでしょうか?
それとも、伸ばしにくくなるでしょうか?

 

同じばねを2本並列につなぐ

図4のばねに質量mのおもりをつるすと、弾性力はkxmg、ばねの伸びはx\(\frac{mg}{k}\)ですね。

 

このばねを2本並列につないで質量mのおもりをつるしますよ。

 

図6 並列につなげたばね(ばね定数k)

 

このとき、2つのばねの伸びは同じx1ですね。
ばねがおもりを引く力の合計はkx1kx1=2kx1となります。

 

そして、おもりに働く力のつり合いの関係から2kx1mgですね。

 

なので、ばねの弾性力kx1\(\frac{mg}{2}\)、ばねの伸びx1\(\frac{mg}{2k}\)となりますよ。

 

同じばねを2本並列につなげたときの弾性力と伸びは、1本のばねのときの半分になるわけですね。
つまり、ばねを並列につなぐと伸ばしにくくなりますよ。

 

 

図7 1本のばねと2本並列につなげたばねの弾性力とばねの伸び(ばね定数k)

 

重い荷物を2人で持つと半分の力で済むでしょう?
これと同じことなんですね。

 

では、もっと物理学的な書き方にしてみましょうか。

 

並列につないだばねの合成ばね定数

質量mのおもりに、ばね定数k1k2(k1k2)の2本のばねを並列につなげましょう。

 

図8 並列につないだばね(2本のばねのばね定数k1k2、1本とみなしたばねのばね定数K)

 

2本のばねの伸びはどちらも同じxですよ。
すると、ばねがおもりを引く力の合計はk1xk2x=(k1k2)xとなるわけです。

 

そして、おもりに働く力のつり合いから、(k1k2)xmgですね。

 

ここで、2つのばねを並列につないだものを1つのばね(合成ばね定数K)とみなしましょう。
おもりに働く力のつり合いから、Kxmgとなりますよ。

 

すると、Kx=(k1k2)xから、合成ばね定数Kk1k2のばねがおもりを引くことになるわけですね。

 

並列につなげた場合、ばねの数を増やしていくと、合成ばね定数Kは、

 

Kk1k2k3+・・・

 

となりますよ。

 

ばねを並列につなげていくと、Kの値は大きくなっていきますね。
つまり、並列につなげたばねは伸ばしにくくなるわけです。

 

次は、ばねを直列につなげた場合を考えてみましょう。

 

直列につないだばね

ばねを直列につなげると、ばねは伸ばしやすくなるでしょうか?
それとも、伸ばしにくくなるでしょうか?

 

同じばねを2本直列につなぐ

図4のばねに質量mのおもりをつるすと、弾性力はkxmg、ばねの伸びはx\(\frac{mg}{k}\)ですね。

 

このばねを2本直列につないで質量mのおもりをつるします。
このとき、上のばねの伸びをx1、下のばねの伸びをx2としますよ。

 

図9 直列につなげたばね(ばね定数k)

 

おもりに働く力のつり合いの関係からkx2mgですね。
なので、下のばねの弾性力kx2mg、下のばねの伸びx2\(\frac{mg}{k}\)となりますよ。

 

次に、下のばねに働く力のつり合いを考えましょう。

 

作用反作用の法則から、鉛直下向きにはおもりが下のばねを引く力kx2が、鉛直上向きには上のばねが下のばねを引く力kx1が働きますね。

 

この2力がつり合うのでkx1kx2となります。
つまり、上のばねの伸びx1と下のばねの伸びx2は同じx1x2\(\frac{mg}{k}\)ですね。

 

そうすると、上のばねの弾性力kx1と下のばねの弾性力kx2は同じkx1kx2mgになるわけです。

 

同じばねを2本直列につなげたときの弾性力と伸びは、1本のばねのときと同じなんですよ。

 

2本直列のばねを1本のばねとみなすと、ばねの伸びは2倍になっていますね。
なので、ばねを直列につなぐと伸ばしやすくなるのです。

 

図10 1本のばねと2本直列につなげたばね(ばね定数k)

 

このことを、もっと物理学的な書き方にしてみましょう。

 

直列につないだばねの合成ばね定数

質量mのおもりに、ばね定数k1k2(k1k2)の2本のばねを直列につなげましょう。

 

上のばねのばね定数はk1で伸びはx1、下のばねのばね定数はk2で伸びはx2としますよ。

 

図11 直列につないだばね(2本のばねのばね定数k1k2、1本とみなしたばねのばね定数K)

 

おもりに働く力のつり合いの関係からk2x2mgなので、下のばねの伸びx2\(\frac{mg}{k_{2}}\)ですね。

 

次に、下のばねに働く力のつり合いを考えましょう。

 

作用反作用の法則から、鉛直下向きにはおもりが下のばねを引く力k2x2が、鉛直上向きには上のばねが下のばねを引く力k1x1が働きますね。

 

この2力がつり合うのでk1x1k2x2mg、つまり、上のばねの伸びx1\(\frac{mg}{k_{1}}\)ですよ。

 

さて、ここでばねを合成して、全体をばね定数Kの1本のばねをみなしますね。
このばねの伸びは(x1x2)ですよ。

 

そうすると、おもりに働く力のつり合いはK(x1x2)=mgとなるわけです。

 

ここにx1\(\frac{mg}{k_{1}}\)x2\(\frac{mg}{k_{2}}\)を代入すると、

 

K\(\left(\frac{mg}{k_{1}}+\frac{mg}{k_{2}}\right)\)mg
K\(\left(\frac{1}{k_{1}}+\frac{1}{k_{2}}\right)\)=1

 

ですから、ばね定数K\(\frac{k_{1}k_{2}}{k_{1}+k_{2}}\)なんですね。

 

もう少しわかりやすく書き直すと、

 

\(\frac{1}{K}\)\(\frac{1}{k_{1}}\)\(\frac{1}{k_{2}}\)

 

直列につなげた場合、ばねの数を増やしていくと、合成ばね定数Kは、

 

\(\frac{1}{K}\)=\(\frac{1}{k_{1}}\)+\(\frac{1}{k_{2}}\)+\(\frac{1}{k_{3}}\)+・・・

 

となりますよ。

 

ばねを直列につなげていくと、Kの値は小さくなっていきますね。
つまり、ばねを直列につなげるとばねが伸ばしやすくなるわけです。

 

弾性力とフックの法則、ばねの合成について理解できましたか?

 

では、一緒に例題を解いてみましょう!

 

例題で理解!

例題1
質量0.10 kgのおもりをつるすと2.0 cm伸びるばねがある。
重力加速度の大きさを9.8 m/s2とする。

(1)このばねのばね定数を求めよ。
(2)このばねを10 cm伸ばすために必要な力の大きさを求めよ。

 

次に、同じばねをもう1本用意して2本のばねをつなぎ、同じおもりをつるして静止させた。

(3)2本のばねを並列につなぐと、おもりは何cm下がるか。
(4)2本のばねを直列につなぐと、2本のばね全体で何cm伸びるか。

 

図を描いて力を全て書き出すことが解き方のポイントですよ。
弾性力の向きに注意してくださいね。

 

(1)このばねのばね定数を求めよ。

 

図を描いておもりに働く力を書き出してみましょう。
おもりの質量をm、ばね定数をk、ばねの伸びをxとしますよ。

 

図12 ばねにつるしたおもり

 

おもりに働く力は重力mgと弾性力kxですね。

 

この2力がつり合っていてkxmgなので、

 

k\(\frac{mg}{x}\)\(\frac{0.10×9.8}{2.0×10^{-2}}\)49 N/m

 

フックの法則に出てくるばねの伸びの単位は[m](メートル)ですよ。
単位の変換に注意しましょうね。

 

(2)このばねを10 cm伸ばすために必要な力の大きさを求めよ。

 

ばねを伸ばすために必要な力の大きさは、弾性力の大きさと同じですね。

 

フックの法則から弾性力が求められるので、
Fkx=49×10×10-24.9 N

 

(3)2本のばねを並列につなぐと、おもりは何cm下がるか。

 

図を描いておもりに働く力を書き出しましょう。
おもりの質量をm、ばね定数をk、ばねの伸びをxとしますよ。

 

図13 並列につなげたばねにつるしたおもり

 

2本のばねの伸びは同じxなので、それぞれのばねの弾性力はkxですね。

 

おもりに働く力を考えましょう。
2本のばねがおもりを引く力=弾性力の和がmgとつり合うので、2kxmgとなりますよ。

 

x\(\frac{mg}{2k}\)\(\frac{0.10×9.8}{2×49}\)=1.0×10-2 m=1.0 cm

 

(4)2本のばねを直列につなぐと、2本のばね全体で何cm伸びるか。

 

図を描いておもりとばねに働く力を書き出しましょう。
おもりの質量をm、ばね定数をk、ばねの伸びをxとしますよ。

 

図14 直列につなげたばねにつるしたおもり

 

おもりに働く力はつり合いから、重力mgと弾性力kxですね。
この2力がつり合うのでkxmgとなりますよ。

 

作用反作用の関係と力のつり合いの関係から、上のばねと下のばねそれぞれの弾性力はkxですね。
なので、ばねの伸びは

 

x\(\frac{mg}{k}\)\(\frac{0.10×9.8}{49}\)=2.0×10-2 m

 

同じばねを直列につなげているので、全体の伸びの合計は、
2×2.0×10-2 m=4.0×10-2 m=4.0 cm

 

 

それでは、もう1問いきましょう!

 

例題2
重さの無視できる同じばね(ばね定数k)を使って、下図のようにおもりをつるした。
それぞれのばねの伸びを求めよ。
おもりの質量は全てmとし、滑車はなめらかに動くものとする。

 

図15 例題2の図

 

「重さの無視できるばね」なので、ばねに働く重力は無視できますね。

 

そして、滑車はひっかからずなめらかに動きます。
なので、滑車は無いものと考えて、「ばねがおもりを引く力」と「おもりがばねを引く力」は作用反作用の関係にありますね。

 

では、おもりとばねに働く力を全て書き出してみましょう。

 

(1)ばねの伸びをxとしますよ。

 

図16 例題2(1)

 

おもりに働く力は重力mgと弾性力kxですね。
この2力がつり合うのでkxmgとなります。

 

ばねに働く力は、おもりがばねを引く力F1と壁がばねを引く力F2ですね。
この2力がつり合うのでF1F2です。

 

そして、F1kxは作用反作用の関係にあるのでF1kxですよ。
なので、F1F2kxmgですね。

 

つまり、ばねの伸びx\({\frac{mg}{k}}\)となるわけです。

 

(2)ばねの伸びをxとしますよ。

 

図17 例題2(2)

 

左と右のおもりに働く力は重力mgと弾性力kxですね。
この2力がつり合うので、どちらもkxmgとなります。

 

ばねに働く力は、右のおもりがばねを引く力F1と左のおもりがばねを引く力F2ですね。
この2力がつり合うのでF1F2です。

 

F1kxF2kxは作用反作用の関係にあるので、F1F2kxmgですね。

 

つまり、ばねの伸びx\({\frac{mg}{k}}\)となるわけです。

 

(2)はおもりがばねの両側から引いているので、(1)より伸びが大きく思えるかもしれませんね。

 

でも、(1)の左側の壁と(2)の左側のおもりは同じ役割をしているのです。
(1)の壁がばねを引く力はF2kxmgなので、おもりのmgと同じ力をばねにかけていますね。

 

思い込みで間違えないように、

 

  • ばねやばねにくっついている物体に働く力を書き出す
  • 力のつり合いや作用反作用の関係を表す式を立てる

 

という考え方で解くと良いですよ。

 

(3)Aのばねの伸びをxA、Bのばねの伸びをxBとしますよ。

 

図18 例題2(3)

 

左のおもりに働く力は重力mgと弾性力kxA、右のおもりに働く力は重力mgと弾性力kxBですね。
この2力がつり合うので、どちらもkxAkxBmgとなりますよ。

 

Aのばねに働く力は、左のおもりがばねを引く力F4とBのばねが引く力F2ですね。
この2力がつり合うのでF2F4です。

 

F4kxAは作用反作用の関係なので、F2F4kxAmgとなりますね。

 

Bのばねに働く力は、右のおもりがばねを引く力F1とAのばねが引く力F3ですね。
この2力がつり合うのでF1F3です。

 

F1kxBは作用反作用の関係なので、F1F3kxBmgとなりますね。
そして、F2F3も作用反作用の関係なので、F2F3kxBmgです。

 

すると、F1F2F3F4kxAkxBmgとなるわけですね。

 

つまり、ばねの伸びxA=xB\({\frac{mg}{k}}\)となります。

 

(4)Aのばねの伸びをxA、Bのばねの伸びをxBとしますよ。

 

図19 例題2(4)

 

右のおもりに働く力は重力mgと弾性力kxBですね。
この2力がつり合うのでkxBmgとなります。

 

Aのばねに働く力は、壁がばねを引く力F5とBのばねが引く力F4ですね。
この2力がつり合うのでF4F5です。

 

Bのばねに働く力は、おもりがばねを引く力F1とAのばねが引く力F3ですね。
この2力がつり合うのでF1F3となりますよ。

 

作用反作用の関係にあるのは、F1kxBF2F3F4kxAですね。
なので、F1kxBF2F3F4kxAとなるわけです。

 

まとめると、F1F2F3F4F5kxAkxBmgですね。

 

つまり、ばねの伸びxA=xB\({\frac{mg}{k}}\)というわけですよ。

 

(3)と(4)のばねの伸びは同じでしたね。
(3)の左側のおもりと(4)の左側の壁は同じ役割をしていたんですよ。

 

 

ばねや物体に働く力を全て書き出せば、間違えずに解けるようになりますよ。
弾性力の向きには注意してくださいね。

 

それでは、理解度チェックテストにチャレンジしましょう!

 

弾性力とフックの法則理解度チェックテスト

【問1】
ばねの上端を天井に固定し、下端に質量0.50 kgのおもりをつり下げた。
おもりの下に板を置いたところ、ばねが0.10 m伸びてつり合った。
ばね定数を20 N/m、重力加速度の大きさを9.8 m/s2として、以下の問いに答えよ。

(1)ばねがおもりを引く力の大きさは何Nか求めよ。
(2)板がおもりを支える力の大きさは何Nか求めよ。

 

 

解答・解説を見る
【解答】
(1)2.0 N (2)2.9 N

【解説】
おもりを着目物体として、おもりに働く力を全て書き出す。

 

まず、おもりは鉛直下向きの重力Wmgを受ける。

 

次に、おもりはばねと板と接触している。
なので、ばねから弾性力Fkx、板から垂直抗力N(垂直抗力”normal force”に由来)を受ける。

 

 

(1)ばねがおもりを引く力の大きさは何Nか求めよ。

 

ばねがおもりを引く弾性力はFkxである。
ばね定数k=20 N/m、ばねの伸びx=0.10 mなので、
F=20×0.10=2.0 N

 

(2)板がおもりを支える力の大きさは何Nか求めよ。

 

おもりが受ける力のつり合いの関係から、
FNmg

 

これより、
NmgF=0.50×9.8-2.0=2.9 N

 

まとめ

今回は、弾性力とフックの法則についてお話しました。

 

弾性力は、

  • ばねが元に戻ろうとする力
  • ばねを引く(押す)力と同じ大きさで向きは逆

 

フックの法則は、

  • ばねの自然長からの伸びをx [m]とすると弾性力の大きさF [N]=kxと表される(ばね定数:k [N/m])

 

ばね定数kは、

  • ばねを1 m伸ばすのに必要な弾性力でばねの硬さを表す
  • 値が大きくなるほど弾性力が大きくなる

 

ばねを並列につなげた場合、

  • ばねは伸ばしにくくなる
  • 合成ばね定数Kk1k2k3+・・・

 

ばねを直列につなげた場合、

  • ばねは伸ばしやすくなる
  • 合成ばね定数\(\frac{1}{K}\)\(\frac{1}{k_{1}}\)\(\frac{1}{k_{2}}\)\(\frac{1}{k_{3}}\)+・・・

 

弾性力の向きはうっかり間違えやすいので注意してくださいね。
合成ばね定数は丸暗記するのではなく、図を描いて自分で導き出せるようになりましょう。

 

次回は、摩擦力についてお話しますね。
こちらへどうぞ。