
「今日の最高気温は30℃だって!暑いねー!」
こんな感じで私たちが毎日使っている「温度」とは、セルシウス(セ氏)温度のことです。
[℃]という単位で表されている温度ですね。
簡単に言うと、水が凍る温度から沸騰する温度までを100等分して、その1つ分を1 ℃と決めたわけです。
「水が凍る温度を0 ℃にして水が沸騰する温度を100 ℃にしよう!」と、昔の科学者たちが決めたのですね。
ただ、気圧が上下すると水が凍ったり沸騰したりする温度が変わってしまいます。
富士山の山頂では、100 ℃より低い温度で水が沸騰するって聞いたことありませんか?
地上より気圧が下がる山頂では、水の沸騰温度は100 ℃より低くなってしまうのです。
こういうわけで、ちょっとややこしいのですが、
「私たちが普段生活している海抜0 mでの気圧(1気圧)を基準にしますよ!」
ということも決められました。
物理的な感じで言うと、セルシウス温度は、
「1気圧のもとで氷がとける温度(融点)を0 ℃、水が沸騰する温度(沸点)を100 ℃とし、その間を100等分して1 ℃と決めた温度」です。
日常生活で使うために決められた温度なのです。
スウェーデンの物理学者アンデルス・セルシウスにちなんで名づけられました。
でも、科学を勉強していると、『絶対温度(ぜったいおんど)』という新しい温度が出てきますね。
セルシウス温度とは、一体何が違うのでしょう?
目次
絶対温度とは?解説します!
セルシウス温度は、日常生活で使うには便利な温度です。
私たちの身の周りにある「水」の変化から決められたからです。
ただ、科学の世界では、水だけじゃなく金属やアルコールなど色々な物質の変化を色々な条件で研究します。
とても詳しく調べるため、とても正確な温度が必要になります。
昔の科学者たちはこう思うようになりました。
「水以外の物質を調べているのに、水の変化から決めたセルシウス温度を使っていていいのかな?」
「物質の種類に左右されない、科学的に決めた温度があるといいな!」
そこで、イギリスの物理学者ケルビン卿ウィリアム・トムソンは考えました。
「物質の種類に左右されない温度目盛りのゼロ点を決めて、一目盛りを1 ℃と同じとする温度目盛りを作ろう!」
ケルビン卿がゴリゴリと理論計算すると、目盛りのゼロ点は-273.15 ℃でした。
この-273.15 ℃を基準点とした温度が『絶対温度』です。
単位はKという記号で表し、ケルビンと読みます。
んん?何か引っかかりませんか?
「物質の種類に左右されない温度目盛りのゼロ点」って何なのでしょう?
そう、「物質の種類に左右されない」つまり「物質に共通すること」に注目したことがミソなのです。
「物質に共通すること」それは「原子や分子という粒々でできていること」です。
そして、原子や分子は冷やすと動きにくくなり、熱すると激しく動き回るという熱運動をしています。
この熱運動と温度がどう関わっているのでしょう?
温度と固体・液体・気体中の熱運動
物質をつくっている原子や分子は、絶えず熱運動をしています。
図1 固体・液体・気体中での原子・分子の熱運動
氷のような固体では、原子や分子はキッチリ決まった配列に並び、振動しています。
なので、簡単には変形しません。
水のような液体では、原子や分子は少し位置を変えて動き回っています。
なので、入れ物に合わせて形を変えることができます。
水蒸気のような気体では、原子や分子は空間内を自由に飛び回ります。
なので、手でつかむことができません。
このような原子や分子の熱運動の激しさを表すものさしの一つが『温度』です。
温度を上げると熱運動が激しくなるし、温度を下げると熱運動は鈍くなります。
そして、温度を下げ続けると…、
どんな物質でも、原子や分子の熱運動は-273.15 ℃で止まってしまいます。
これが「物質の種類に左右されない温度目盛りのゼロ点」なのです。
絶対零度
基準となる一番低い温度という意味で、-273.15 ℃のことを『絶対零度』と呼び、0 Kと表します。
この絶対零度を基準にした温度が『絶対温度』なのです。
絶対温度がマイナスになることはありません。
また、絶対温度とセルシウス温度の一目盛りの間隔を同じとすることに決められました。
つまり、1 Kの温度差は1 ℃の温度差と同じなのです。
「2 K上がった」時と「2 ℃上がった」時では、変化した温度差は同じです。
「3 K下がった」時と「3 ℃下がった」時も、変化した温度差は同じです。
分かりやすいですね。
さて、同じものさしならば、絶対温度とセルシウス温度はお互いに変換できないのでしょうか?
絶対温度とセルシウス温度の変換方法は?
絶対温度の基準点である絶対零度は、0 Kであり-273.15 ℃でした。
そして、絶対温度とセルシウス温度の一目盛りの幅は同じです。
どうでしょう、気づきましたか?
絶対温度とセルシウス温度の数値は、273.15ずれているだけなのです。
この関係を図にすると、こうなります。
図2 絶対温度とセルシウス温度の関係
つまり、絶対温度T [K]とセルシウス温度t [℃]の関係式は、
T=t+273.15
となります。
この式を使えば、絶対温度とセルシウス温度を互いに変換することができます。
℃をKに変換するときは273.15を足します。
Kを℃に変換するときは273.15を引けばいいのです。
さて、ここまでの話が分かったら、さっそく例題を解いてみましょう。
絶対温度理解度チェックテスト
【問1】 絶対温度の0 Kはセルシウス温度では何℃になるか。
【問2】 セルシウス温度の0 ℃は絶対温度では何Kになるか。
【問3】 セルシウス温度の50 ℃は絶対温度では何Kになるか。
【問4】 絶対温度の253.15 Kはセルシウス温度では何℃になるか。
まとめ
今回は、『絶対温度』の意味とセルシウス温度への変換方法についてお話しました。
絶対温度は、
- 原子や分子の熱運動が止まる温度を0 K(絶対零度)として決められた温度
- 単位はK(ケルビン)
- 1 Kの温度差は1 ℃の温度差と同じ
絶対温度T [K]とセルシウス温度t [℃]の変換は、
- T=t+273.15という関係式を使う
絶対温度はセルシウス温度に273.15を足すだけ!
とても簡単です!
毎朝の気温を絶対温度に変換してみると、絶対温度に慣れてきますよ。
次回は、熱容量と比熱についてお話しますね。
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