単位と物理量の関係!基本単位と組立単位とは?

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身の周りには、たくさんの単位が使われていますよね。
長さであればm(メートル)やkm(キロメートル)など、質量であればg(グラム)やkg(キログラム)などが思い浮かぶのではありませんか?

 

ものの長さや質量などを表すときには、「2.5 kg」のように数値と単位を組み合わせていますね。
このように数値と単位を組み合わせて表される量を『物理量』と言います。

 

例えば、質量を表す「2.5 kg」。
2.5は単なる数値で、単位のkgは「1kgの質量そのもの」を示す単位ですね。
これらを組み合わせると、2.5 kgは「1 kgの質量そのもの」の2.5倍の質量という意味の物理量になっています。

 

次に、長さを表す2.0 mは2.0×mということですよね。
mは「1 mの長さそのもの」の単位ですから、2.0 mは「1 mの長さそのもの」の2.0倍の長さという意味の物理量になるのです。

 

世界中の長さの単位は、色々なものが使われていますね。
でも、科学の世界では世界共通の単位がないと困るのです。

 

そこで、世界的な基準である国際単位系(International System of Units、略称:SI)が使われていますよ。
このSIには、

  • あらゆる単位のもととなるSI基本単位
  • SI基本単位を組み合わせてつくられるSI組立単位

という2種類があるのです。

では、SI基本単位とSI組立単位の一覧を見ていきましょう。

※スマートフォンでは横スクロールすると表が全て見られます。

目次

SI基本単位

SI基本単位は7つあります。
この中で、長さm、質量kg、時間s、電流Aの4つをMKSA単位系の基本単位としています。
これらを組み合わせて、多くの単位がつくられるのですね。

基本量 単位名 単位
長さ メートル m
質量 キログラム kg
時間 s
電流 アンペア A
温度 ケルビン K
物質量 モル mol
光度 カンデラ cd

 

SI組立単位

組立単位は、基本単位の積(掛け算)または商(割り算)という組み合わせでつくられています。

 

例えば、速さは、速さ=距離/時間で定義されていますね。
8.0 m進むのに4.0 sかかったときの速さは、

速さ=8.0 m/2.0 s=(8.0/2.0)×(m/s)=4.0 m/s

と計算するわけです。

 

このように、単位も数値と同じように計算できるのです!
速さの単位であるm/s(メートル毎秒)は、m(距離)をs(時間)で割ることで、「1秒間に進む距離」という速さの意味を表しているのですね。
基本単位のmとsを組み合わせた、速さの単位m/sは組立単位になるというわけです。

 

固有名称と記号を持つSI組立単位

SI組立単位の中でも、よく使われるものには固有の名称と記号が与えられています。
物理でよく使われる固有名称と記号を持つSI組立単位の一覧です。

単位名 単位 別の表現
角度 度,ラジアン °, rad πrad=180°
振動数, 周波数 ヘルツ Hz 1/s
ニュートン N kg・m/s2
圧力 パスカル Pa N/m2
エネルギー, 仕事, 熱量 ジュール J N・m
仕事率, 電力 ワット W J/s
電気量 クーロン C A・s
電圧, 電位(差) ボルト V W/A, J/C
電気容量 ファラド F C/V
電気抵抗 オーム Ω V/A
磁束 ウェーバ Wb V・s
磁束密度 テスラ T Wb/m2
インダクタンス ヘンリー H Wb/A
セルシウス温度 (セルシウス)度 K
放射能 ベクレル Bq 1/s
放射線量 グレイ Gy J/kg, m2/s2
線量当量 シーベルト Sv J/kg, m2/s2

 

SI組立単位

固有名称と記号を持つSI組立単位以外で、物理でよく使われる組立単位の一覧です。

単位名 単位 別の表現
面積 平方メートル m2  
体積 立方メートル m3  
密度 キログラム毎立方メートル kg/m3  
速度, 速さ メートル毎秒 m/s  
加速度 メートル毎秒毎秒 m/s2  
角速度 ラジアン毎秒 rad/s  
ばね定数 ニュートン毎メートル N/m  
力のモーメント ニュートンメートル N・m kg・m2/s2
熱容量 ジュール毎ケルビン J/K  
比熱 ジュール毎グラム毎ケルビン J/(g・K)  
電場の強さ ニュートン毎クーロン N/C V/m(ボルト毎メートル)
抵抗率 オームメートル Ω・m  
磁場の強さ ニュートン毎ウェーバ N/Wb A/m(アンペア毎メートル)

 

SI接頭語

科学分野で扱う物理量の数値って、どんなものが思い浮かびますか?
1,000,000のように大きい桁から、0.000001のように小さい桁まで幅広ーいものがありますね。
想像もつかない大きさの数値がたくさん出てきます。

 

でも、桁が増えるたびに名前の違う単位を使っていては覚えきれませんよね!
どんなに頭の良い科学者でも、無理なものは無理です。

 

そこで、どんな大きさの物理量でも分かりやすく表現するために、

  • 物理量にはメートル、キログラム、ワットなど基準となる1つの単位を定義する
  • 桁の大小は10の累乗倍の数を示す「接頭語(せっとうご)」で表現する

ことが決められたのです。

 

例えば、接頭語「キロ」は1000(=103)倍を表します。
なので、1キロメートルは1000メートルという意味になるわけです。
「キロ」の記号はkですから、1km=1000mだと分かりますね。

 

接頭語「ミリ」は1000分の1(=10-3)を表します。
なので、1ミリグラムは1000分の1グラム(1グラムは1000ミリグラム)という意味になるわけです。
「ミリ」の記号はmですから、1mg=1/1000 g(1g=1000mg)ですね。

 

さて、ナノ(10-9)~ギガ(109)は高校物理でもたびたび使われますね。
科学技術系やIT系のニュースにもよく出てくるので、覚えておくと便利ですよ。
「SI接頭語」と言われていますが、SI以外にも使えます。

接頭語 記号 大きさ(10n) 使用例
ヨタ(yotta) Y 1024  
ゼタ(zetta) Z 1021  
エクサ(exa) E 1018  
ペタ(peta) P 1015  
テラ(tera) T 1012 THz(テラヘルツ)
ギガ(giga) G 109 GHz(ギガヘルツ)
メガ(mega) M 106 MΩ(メガオーム),MW(メガワット),MHz(メガヘルツ)
キロ(kilo) k 103 km(キロメートル),kg(キログラム),kΩ(キロオーム),kHz(キロヘルツ)
ヘクト(hecto) h 102 hPa(ヘクトパスカル)
デカ(deca) da 101  
デシ(deci) d 10-1  
センチ(centi) c 10-2 cm(センチメートル)
ミリ(milli) m 10-3 mm(ミリメートル),mg(ミリグラム),mA(ミリアンペア),mHz(ミリヘルツ)
マイクロ(micro) μ 10-6 μC(マイクロクーロン),μF(マイクロファラド),μHz(マイクロヘルツ)
ナノ(nano) n 10-9 nF(ナノファラド),nm(ナノメートル),nHz(ナノヘルツ)
ピコ(pico) p 10-12 pF(ピコファラド),pHz(ピコヘルツ)
フェムト(femto) f 10-15 fm(フェムトメートル),fC(フェムトクーロン),fHz(フェムトヘルツ)
アト(atto) a 10-18  
ゼプト(zepto) z 10-21  
ヨクト(yocto) y 10-24  

 

基本単位と組立単位理解度チェックテスト

【問1】
次の文章中の( )を埋めよ。

長さや質量などの量を(ア)と言う。
あらゆる(ア)は、(ア)=数値×(イ)の形になっている。
例えば、長さを表す3.0mは3.0×mの意味なので、単位のmは(ウ)を表す。
(エ)を組み合わせてつくる単位のことを(オ)と言う。
速さの単位(カ)は(オ)である。

解答・解説を見る
【解答】
(ア)物理量 (イ)単位 (ウ)1mの長さ (エ)基本単位 (オ)組立単位 (カ)m/s

【解説】
長さを表す3.0mは3.0×mの意味なので、m(1mの長さ)の3.0倍を意味する。
mが長さの単位である。
基本単位であるmとsを組み合わせた速度の単位m/sは組立単位である。

 

まとめ

今回は、物理でよく使われる基本単位と組立単位についてお話しました。

 

国際単位系(SI)には、

  • あらゆる単位のもととなるSI基本単位と、SI基本単位を組み合わせたSI組立単位がある

 

SI接頭語は、

  • 大きい(または小さい)数値の桁を表す文字

 

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